感情に振り回されない人の心理的特徴とは?

感情に振り回されない人の心理的特徴について。心理学の言葉に「曖昧さ耐性」という言葉があります。これは、曖昧さにどれほど耐え得ることができるかということ。つまり、ちょうど良い加減が分かって実行できる人のことです。人間関係は感情の関係とも呼ばれますが、感情的にならないために「曖昧さ耐性」を上手に使う方法をご紹介します。

 

感情に振り回されない人の心理的特徴

ほどほどを理解するという心理

感情的になる人は自分の感情をコントロールできないことが多いと言われています。これは、大人になると成長とともに増えるはずの知識や理解が不足していることや、経験を通して知ることのできる幅が狭いために未熟であることが関係しています。

例えば、大人よりも子供の方が大好きな食べ物があるとお腹いっぱいになるまで食べてしまいます。大人はちょうど良い加減を知っていますし、「これ以上食べると体に害になる」ということも理解しているので、食べるのをやめることができます。

 

また、薬などは多量に飲むと毒になることを知っている親は子供の手の届かない場所に置くことでしょう。不思議なことですが、自然界の動物も本能的に多量に食べると害になる植物を知っていて、食べることはしません。しかしながら、人間は未成熟の間は白か黒かで判断しますが、成熟してくると中間があることを理解します。

例えば、「毒でも少量なら薬として有効である」「毒にもなれば薬にもなる」などの考え方です。ちょうど白か黒かの間のグレーゾーン、「いい加減」「ほどほど」といった「曖昧さ」にあてはまるでしょう。

感情的になる人はこの曖昧さに耐えることが難しいため、相手の人を自分にとって良い人か悪い人かを決めつけてしまうことが少なくありません。「敵にもなれば味方にもなる」と理解できるなら、大人として成熟し感情的にも安定しやすい人になるでしょう。

 

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「〇〇できたらいいな」という心理

感情的になりやすい人の思考の型に「〇〇しなければならない」「〇〇すべきだ」というものがあります。特に、神経質で生真面目な人に多いのですが、これは「should思考」と呼ばれています。

例えば、デスクの上をいつもきちんとしている人にとって、デスクの上が散らかっている同僚に対して「私だったら我慢できない」「どうして片付けないんだろう」とイライラしてしまいます。

 

この根底にある思考法は「常にきちんとして置くべきだ」「他の人に不快感を与えないようにすべきだ」というもの。「曖昧さ耐性」のなさに通ずるのですが、この思い込みによって同僚の無神経さに腹を立ててしまいます。

一方、もしかすると同僚は「自分なりに片付けている」と感じているかもしれませんし、「不快感を与えているなんて思っていない」といった心理かもしれません。また、頑張り屋の人ほど「完璧にしなければ」「ベストを尽くすべき」といった思考が強いでしょう。

 

仕事上のパートナーのミスやアクシデントが起きると「うまくいっていたのに」「台無しだ」と感情的になってしまいます。そもそも、人間誰でもコンディションに波がありますし、いつも完璧にできる人はいません。

自分にも他の人にも完璧さを求めては、追い込まれて苦しくなるだけです。こんな時は、「〇〇できたらいいな」「〇〇したいな」といた「wish思考」を持ちましょう。自分も他の人も目標に近づくことを目指して行なっているという思考の方が感情的にも穏やかになれるでしょう。

 

 

柔らかく受け止めるという心理

一般に、「曖昧さ」はあまり受けが良くありません。例えば、「曖昧な態度ではぐらかす」「曖昧な返事でごまかす」など、「計算高い人」「ずるい人」「煮え切らない人」といった印象を与えることが少なくないからです。

しかしながら、ここでの「曖昧さ耐性」とは相手や周囲に対して曖昧なものを認めて受け入れるという意味です。例えば、相手の人を「好き」「嫌い」と判断することがありますが、好きな人でも欠点を知ると「ちょっと苦手かも…」という心理になったり、嫌いな人でも長所が分かると「案外良い人かも」という心理になることがあるでしょう。

 

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このような「好き」「嫌い」では分けることができない状態は気持ちの良い人間関係をつくるために重要です。臨機応変に誰とでも付き合うことができるため、周囲もリラックスした雰囲気になることが多いでしょう。

仮にそのような人を見て「八方美人だ」「みんなにいい顔をしている」という人がいるかもしれません。実際のところそのように受け止める人の方が「曖昧さ耐性」の低さを露呈していることになるでしょう。限られた人だけでなく、幅広く良い関係を作ることができる人は柔らかさがある曖昧さ耐性の高い人と言えるでしょう。

 

 

いろいろな可能性を考えるという心理

感情に振り回される人に多いタイプはひとつの可能性だけしか考えないという傾向です。例えば、同僚に話しかけたけど素っ気なくされたと感じたり、話の輪に入ったらみんなが黙ってしまったなどの場合があります。

「曖昧さ耐性」がない人は「仲間外れにされてる」「悪いうわさが流れている」といった気持ちになり、「誰かがうわさを流したのかも…」「影で動いている人がいるんだ」といった心理になるかもしれません。

 

一方、「曖昧さ耐性」の高い人は他の可能性を考えることができます。素っ気なくされたのではなく、「次の予定が入っていたのかも」「相手は考え事をしていたのかも」、黙り込んだのではなく「おしゃべりの切り上げどきだったのかも」「後ろに上司がいたのかも」などです。

思いついた可能性はどれも否定できませんし、絶対ないとも言えません。冷静に考えているうちに、真実は曖昧になっていくこともあります。「なんだかよく分からない」「まあ、気にしないようにしよう」と終わらせることができる人は嫌なことがあっても感情の揺れの少ない人です。

 

 

まとめ

「曖昧さ耐性」は黒か白だけでなくグレーゾーンがあって、その部分を認めることから始まります。しかしながら、このグレーゾーンの幅は狭くなることもあれば広くなることもあります。他の人を疑いたくなる場合、「この人怪しい」と思い続けると、「絶対この人だ」と決めつけてしまうことがるからです。

感情に振り回されない人の重要なポイントはグレーゾーンを広く保つということ。「疑わしきは罰せず」という言葉もある通り「ちょっと怪しいかも…」と思った時は思考をストップさせましょう。「怪しいけどまあいいや」というくらいで切り上げるなら、時間とともにどうでも良くなっていることも多いものです。

 

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また、仕事を任された後に欠点や修正を指摘されるなどの場合、感情を害することがあるかもしれません。そのような時も最初から「これなら絶対通る」という100%の想定ではなく、「通る可能性は50%かも」と想定しましょう。

そうすれば、修正しても想定内ですし、「これぐらい言われるだろう」と余裕を持って対応できます。結果が出る前の予測段階というグレーゾーンを幅広くしておくなら、感情に振り回されるのを防ぐことができるでしょう。