強迫性障害の人の心理的特徴とは?なりやすい人は?

ここでは、強迫性障害の人の心理についてご紹介します。強迫性障害になりやすい人の傾向があります。性格が真面目で理想が高いことや完璧主義であること、頑固で柔軟性に乏しいことや、優柔不断で決断力に乏しいことです。

仕事人間で数字にこだわるといった傾向もあります。また、原因には脳の一時的な機能障害があげられており、人間の脳にある喜怒哀楽など情動をコントロールする機構の働きが低下していると考えられています。

 

強迫性障害の人の心理

無意味なのにある考えがどうしても頭から離れないという心理

強迫性障害の症状の一つは、自分では意味のないことだと分かっていても、ある考えが浮かんで頭から離れないことです。例えば、デパートの屋上にいる場合、「ここから落ちたらどうしよう」という考えが頭に浮かんだとしても、大抵すぐに消えてしまいます。

また、橋を渡る場合、「川に落ちたらどうしよう」と思っても、橋を渡り終えると普通はもう気にしないでしょう。一方、強迫性障害の人はそのような想定が浮かんでは消えるを繰り返し、頭の中がそのことでいっぱいになって、他のことが考えられなくなってしまいます。

これは強迫観念と呼ばれます。満員電車などでは「自分は痴漢をしてしまうのではないか」という考えが頭の中を占領するため、動揺したり汗が出たりすることもあります。「自分は殺人をしてしまうのではないか」という観念にとらわれて、おびえてしまうこともあるでしょう。

 

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苦痛なのにどうしてもしてしまうという心理

強迫性障害には、レシートを受け取ると金額が気になって「合計しなければ気がすまない」といった心理になることもあります。これは、計算強迫と呼ばれ、目に触れるものすべてを「計算しなければ…」と思ってしまいます。

「この世になぜ人が存在しているのだろう」といった、物事の原因や理由をどこまでも突き詰めて考えることもあります。これは詮索癖とも呼ばれています。「1+1はなぜ2なのだろう」と、とりとめのないことをずっと考えるため、無駄に時間が過ぎてしまうこともあるでしょう。

 

さらに、はっきりしないことがあると、徹底的に質問して明らかにしないと気がすまないといった心理になることもあります。質問癖と呼ばれていますが、相手を怒らせてしまうほどになります。

そのような自分を本人は「ばかげている」と思っているのですが、どうしても止められず、苦痛を感じるほどになってしまうでしょう。

 

 

これを行わないと安心できないという心理

強迫性障害の症状には強迫観念の他に、強迫行為と呼ばれる症状もあります。これは本人の意思に反して、ある行為にとりつかれてしまい、繰り返し行わなければ安心できないといった感じです。

例えば、「戸締りをしただろうか」と気になり、外出しても再び家に戻って、閉め忘れていないか何度も繰り返し確認します。また、夜寝る前に「ガス栓は閉めただろうか」と不安になり、確認するために何度も起きてしまいます。

誰でもつい忘れてしまうことはありますが、強迫性障害の人は仕事や家事など日常生活がスムーズに行うことができなくなってしまうでしょう。自分でも「不合理だ」と思っているのですが、次の行動ができないほど繰り返し確認してしまいます。

 

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意味のないことと分かっていても行ってしまうという心理

強迫性障害にみられる強迫観念と強迫行為。どちらかひとつ現れることがありますが、ときには一緒に起こることもあります。例えば、何か触ると「手が汚れているのでは…」「バイ菌がついているから不潔だ」という強迫観念が絶えず浮かんでしまい、バイ菌を洗い流すために手を洗うことを繰り返すという洗浄強迫をします。

また、机の上が散らかっていないのに「きちんとしなければ」という強迫観念がいつも浮かぶため、何度も拭いたり片づけをしたり繰り返すという強迫行為を行ってしまいます。

 

大抵、家族や周囲の人はその言動に気づくでしょう。「また同じことを繰り返してる」「そんなことしても意味がない」と言ってしまうことが少なくありません。心配して無理にやめさせようとすることもあります。

ですが、本人も「自分でも意味のないことと認識しているが、止めることができない」という心理のため、深く悩み傷ついている状態。そのため、周囲の否定的な言動に強く反発したり、怒ったりして悪循環を招くこともあります。

 

 

まとめ

強迫性障害はノイローゼとも呼ばれる神経症のひとつ。神経症は精神的ストレスが原因となって、心身にさまざまな症状が起こる病気です。神経症になるメカニズムはまだ完全にわかっていませんが、生まれつきの素質や性格、ストレスやショックな出来事などで発症すると考えられています。

対人関係のトラブルや社会的立場の変化、引越しなどによる住まいの変化や競争社会のストレスが誘因となるかもしれません。災害などのショックもあります。強迫性障害の人は「周囲の人に悟られたくない」といった心理から、抱えている症状をひとりで悩むことが多いでしょう。

特にこどもや思春期の若い人に多くみられるため、その場合は親も積極的に治療に参加することが重要です。

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