音楽療法の種類|どんな効果があるの?

音楽療法の種類と効果について。音楽が人間の心に与えるものは無限のものがあり、心に沁みる音楽を聴いて癒されたり、軽快な音楽を聴いて元気が出た経験をお持ちの方は多いと思います。

そんな音楽が私たち人間の心に与える力を利用して心身の障害を改善するなど、治療の分野で音楽を取り入れて治療を行う音楽療法があります。

 

音楽療法とは?

音楽療法とは音楽のもつ本能的、あるいは心理的に働きかける効果や力を利用して、 心や身体の障害を軽くしたり回復を目的とする治療法をいいます。

音楽療法は「日常の生活に必要な機能の維持や改善、生活の質の向上や問題となる行動を良い方向に向けるために音楽を計画的に使用すること」と定義づけられています。

 

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認知症の予防や改善に取り入れられているオルゴール

認知症の治療を行う医療機関や老人施設などで、オルゴールを利用した治療が行われています。CDなどではだめで、オルゴールに効果が期待できるのですが、その理由はオルゴールは生演奏だからです。

シリンダー・オルゴールは、金属製の円筒が回って、その上の突起が「櫛歯(くしば)」と呼ばれる金属の板をはじいて音を出します。そして、置く場所によっても音色が違ってきますが、木の机他、木の材質の上に置くとさらに高音の澄んだ音色になり、人の心に響きます。

 

ちなみに、オルゴールの音色に心が動かされて多くの旧日本兵の命を救った逸話があります。第二次大戦直後のことですが、フィリピンで収容されていた旧日本兵が故郷を偲んで作ったという曲「モンテンルパの夜は更けて」をオルゴールにして当時のフィリピン大統領に贈りました。

オルゴールの音色と曲に込秘められた思いを聞いた大統領は、心を動かされすべての日本兵を送還してくれたといいますが、オルゴールの音色が多くの旧日本兵の命を救った実話で、オルゴールによる生演奏が人の心に与える力のすごさと言えます。

 

 

朝起きられない人におすすめな音楽とは?

数年前にテレビで「どんな曲が起きやすいか」という実験をしていました。実験には和田アキコさんの「あの鐘を鳴らすのはあなた」という曲とあと2つの計3曲のうちどの曲が起きやすいかという実験でした。

和田さんの曲以外の2つの曲名は忘れましたが、とにかく3曲のうちで一番起きやすいのが「この鐘を鳴らすのはあなた」でした。その理由として解説していたのは、睡眠の専門医の話では「歌い出しからサビにかけてどんどんテンポが上がっていって、テンポが変化することで目が覚めやすくなるとのことでした。

 

テンポの良い曲は中脳を刺激して大脳に働きかけて、ドーパミンという覚醒物質が大量に分泌されて目が覚めやすくなるのだそうです。別に和田アキ子さんのこの曲だけが良いのではなく、テンポの良い曲や自分が好きな曲は目が覚めやすいそうです。

そのため、CDのカセットなどで自分の好きな曲が起きたい時間にかかるようにタイマーをセットしておくことを勧めていました。私ごとで恐縮ですが、テンポの良い曲や自分の好きな曲は目が覚めやすいということを聞いて大いに納得したことがあります。

 

私はCDをごく小さな音でかけてお昼寝をする事がありますが、不思議と自分がそのCDのなかでも好きな曲の時に目が覚めて心地良く感じていましたが、それは偶然ではなく脳内のメカニズムの働きがそうさせていたのです。

好きな曲が目を覚ましやすいのはたしかです。ぜひ、試してみてください。

 

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たくさんある音楽療法の種類

認知症患者のための音楽療法

音楽を聴いたり歌ったりすることで脳の血流が良くなり、脳のエネルギー源である糖が運ばれる量も増えて脳が活性化します。そのため、認知症に関連する下記のような症状に変化がみられます。

行動面では、徘徊や暴力、食行動の異常や睡眠障害、そして、自発性や協調性が良くなることが期待できるとされています。心理面では、不安や興奮、うつ症状や無気力や妄想、幻覚などに効果があるようです。

 

 

高齢者のための音楽療法

高齢者施設などや地域の高齢者に対する福祉や保健事業などで、「歌をうたう」とか、「音楽に合わせて体操をする」あるいは「音楽を聴く」などの内容の音楽活動がよく行なわれています。

また、これらの活動だけでなく身体面や心理面、社会性など、あらゆる面から高齢者を援助して、その目的に合わせたさまざまな音楽活動を加えることで音楽活用の有効性が高まるとされています。

ここでいう音楽活動とは、高齢者が歌や楽器を練習して練習の成果を披露することであり、その活動をすることで高齢者の意欲が高まる効果があります。

 

 

発達障害者のための音楽療法

いまのところ障害児の発達や知能の向上他などを音楽やピアノレッスンで受け入れてくれる教室は、まだまだ少ないのが現状のようです。しかし、数が少ないとはいえ、障害児のための音楽療法やピアノレッスンをしている教室もあります。

上記のほかにも「薬物乱用者のための音楽療法」「身体障害者のための音楽療法」「不登校児のための音楽療法」「幼児のための音楽療法」「高次脳機能障害者のための音楽療法」などが現在日本で行われています。

 

いずれも音楽を聴いたり歌ったり楽器を演奏するだけでなく、運動を取り入れたり総合的に治療に当たります。ちなみに、統合失調症は基本的に治らない病気ですが、癒しの音楽とか軽快な音楽を聴くことで体調が活き活きしてくる効果があるそうです。

音楽療法は効果が証明されている補完療法であり、多くの病状や問題に効果を上げています。治癒力はありませんが、幸福感や生活の質を高めて症状をやわらげ、初期治療やリハビリテーションの効果を高めてくれます。

 

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音楽療法士の資格

音楽療法士を希望する人も増えてきていますが、音楽療法士は国家資格ではなく民間資格です。日本の音楽療法士の資格には、日本音楽療法学会の「学会認定音楽療法士」と全国音楽療法士養成協議会の「音楽療法士」の2つがあります。

資格を取るための勉強には、短大や大学、専門学校がありますが、忙しくて通えない人は通信教育での道も開かれています。

ただ、音楽療法士は求人数が少なく、音楽療法士の資格だけで就職しようとするのは難しく、最初は心理カウンセラーやそのほかの医療系、福祉系の資格の取得をした後で音楽療法士を目指す人が多いです。