集団パニックの心理|起こりやすい、にくい環境とは?

集団パニックの心理について。人は危機的な状況に陥ると、説明のつかないような行動を起こしてしまうことがあります。冷静に考えると、その状況下で行う行動としては、まったく無意味なことで、むしろマイナスに作用することが多く、危機的状況をさらに拡大してしまうことになりえます。

このような行動を、人々は「パニック」と呼び、恐怖の念を抱いてきました。これは、パニックが小説や映画の題材として多々取り上げられてきたことからもわかります。

人々の判断を狂わしてしまうパニックが、どのような心理状態から引き起こされるのかを考えてみます。

 

パニックとは?

パニックの語源を調べてみると、ギリシア神話の牧神である「パン・パーン」によるものと考えられています。

古代ギリシアの人々は、家畜が突然騒ぎ始め、集団で逃げ出す様子を見て、この家畜達が騒いだり逃げたりしたのは、パン・パーンの仕業かと考えました。

近代となり、この「パン」からパニックという言葉が生まれ、パニックは恐怖による混乱した状態を表す言葉となっています。

 

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パニックの心理とは?

パニックがなぜ起こるかについては、完全に説明できるまで明確にはわかっていません。しかし、引き起こす心理状態としては、次の3つの影響があると考えられています。

  • ①危機的状況に陥り、脳の処理能力を超える状況になってしまった。
  • ②強いストレス下にさらされたことで、物事の合理的な判断を下すことができなくなってしまった。
  • ③ストレスから逃げ出したいという欲求が高まり、緊急的な回避行動への欲求が高まってしまった。

過度のストレスの高まりは、人から冷静な判断や行動を奪い、非論理的で衝動的な行動を引き起こしてしまうのです。

 

 

恐ろしい集団パニックが起こる環境とは?

パニックで一番恐ろしいことは、集団パニックが発生することです。

災害時や群衆が集まる場で、この集団パニックが起こると、人命を損ない、社会基盤を崩壊するものに繋がることが、過去からの歴史の中で繰り返されています。

集団パニックが起こりえる環境は、次の5つの環境下で起こると言われています。

 

  • ①集団内で、正しい情報を得られなくなる。
  • ②集団内で、そこにいる人々が差し迫った脅威を現実に起こっているものと感じる。
  • ③何かの行動を起こすことで、目の前に迫っている危機から、もしかしたら逃れることができ、助かる可能性があると信じている。
  • ④集団内で、他社との競争を行い勝ち抜かないことには、自分の命の保証はない、助からないという危機感を持っている。
  • ⑤集団内の全体の状況を、誰も把握ができていない。

 

このような環境下に置かれることで、集団はパニックを引き起こし、時として人命を奪い、社会正義を逸脱するような行動を起こしてしまうのです。

自分は大丈夫と思っている人もいるかと思いますが、そもそも人は、他人に同調して生きる動物です。他者の気持ちに影響を受けやすく、特に、社会的弱者である子供や高齢者は、この心理が働きやすと言われています。

 

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集団パニックが起こりにくい環境とは?

集団パニックが起きないようにするには、どうしたらいいのが?それは集団パニックが起こりにくい環境を考えることで、防止するために必要な事がわかります。

危機的状況が迫っても、人々が集団パニックを起こしにくい環境は、次の3つのような状況です。

 

  • ①危機的状況が逼迫して、自分や属している集団の生き残りの可能性がほとんどない時。
  • ②集団全体が十分に訓練をされており、危機的状況が迫っても統率がとれていること。
  • ③集団内のリーダーが確立されており、危機的状況が迫ってもリーダーシップを発揮して統率がとれていること。

 

①については最悪な状況下ということになります。具体的な例では、飛行機事故が発生した際の機内の環境が挙げられます。

集団パニックを防ぐヒントは②と③にあります。このように、事前の準備や訓練が十分にされていることが、危機的状況における合理的な行動や危機回避行動に直結していることがわかります。

緊急時に必要なモノを準備し、行うべき行動を事前に決めてシュミレーションを行うこと。緊急時のリーダーと役割分担を明確にしておくこと。

 

これらを十分に準備しておくことで、人は危機的状況下での集団パニックの起こる可能性を低くすることができるのです。

これらからわかる事は、学校や職場での避難訓練は物理的な面はもちろん、人間の心理的な面からしても、しっかり行うことが大切だとわかります。

警察や消防のようなプロ集団が、毎日の地道な訓練を徹底することは、危機的状況の極限状態になっても、冷静な対応を行うことができるよう、精神的な部分を鍛えているということでもあるのです。

 

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人は危機的な状況下に置かれると、説明のつかない行動をとってしまいます。これが群集心理となると、人命を損ない社会的損失をも引き起こすことに繋がります。

それは、人間が強度のストレス下に置かれ、命の危険が差し迫ることで起こりえることです。

そのような集団パニックを防ぐには、危機的状況に陥っても冷静な対応が取れるよう、しっかりと事前に準備をしておくことが、危機的環境下のストレスを軽減する方法ということになります。