心理療法の種類|カウンセリングだけじゃない?

心理療法の種類についていくつか紹介します。心理学的な手法によって、特定の症状などを軽減したり除去したりする方法を「心理療法」といいます。心理療法と聞くと、カウンセリングをイメージする人も多いかもしれませんが、現在開発されている心理療法にはさまざまなものがあります。

 

心理療法の種類

 

カウンセリング

カウンセリングには「指示的カウンセリング」と「非指示的カウンセリング」があります。「指示的カウンセリング」とは、正しい情報を与えることでクライアント(=カウンセリングを受ける側の人)が自ら動けるようにするもので、いわゆる進路相談などがこれにあたります。

一方で、クライアントが自発的に問題を解決し、成長できるよう促す方法として、今日広く受け入れられているものが「非指示的カウンセリング」です。

 

クライアントを中心に考えているため、「クライアント中心療法」とも呼ばれています。現在では、「カウンセリング」と言えば非指示的カウンセリングを表す場合が多いです。

提唱者のロジャーズによれば、クライアントは自身の経験や現状と「自己概念(自分自身についての認知)」とが不一致の状態であるため、不健康な状態におかれていると考えます。

 

これをより一致させていくために、カウンセラーに求められる3つの要素として「自己一致」「無条件の肯定的関心」「共感的理解」があります。「自己一致」とはカウンセラーの自己概念と経験が一致していることで、カウンセラー自身が自分らしくあることを表します。

「無条件の肯定的関心」とは、条件なしでクライアントの話を聞き、受容することです。「共感的理解」とは、クライアントの感情をあたかも自分自身の感情であるかのように感じることで、同情とは異なります。

これらの要素がそろってさえいれば十分で、話していくうちにクライアントの人格が前向きに変わっていくといいます。

 

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行動療法

学習理論に基づいて不適応行動を治療する方法です。パブロフの犬の実験で有名な「レスポンデント条件付け」などを利用します。

行動療法の一種である「系統的脱感作法」では、不安を引き起こす刺激について、弱いものから強いものまでまとめた「不安階層表」をつくり、不安に応じた筋肉の緊張を解く方法(弛緩法)を教えます。

 

はじめは弱い方の不安を提示し、弛緩法により不安を抑制していきます。何度か繰り返すと条件付けにより、不安を感じなくなります。

そうしたら階層表の次の段階に進み、同じことを繰り返していきます。ただし、すべての事例で効果がでるわけではないため、他の療法との組み合わせも必要になります。

 

 

認知行動療法

クライアントの価値観やものの見方に問題があると、悩みが生み出され、さまざまな症状が現れます。これらの認知的な問題を解決するために、認知的な技法と行動的な技法を組み合わせたものを認知行動療法といいます。

ベックによる認知療法と、エリスによる論理療法が有名です。認知行動療法は、うつ病などの症状を症状を改善するために行われます。

 

人の認知のゆがみには、物事を0か1かで極端に考えてしまう二分割思考、何もかも自分と関連付けてしまう自己関連付け、思いつきを信じこんでしまう恣意的推論など、さまざまなものがあります。

これらの認知について記述し、必要ならば修正を図っていくことで、いろいろな認知の仕方があることを自覚できるように援助していきます。

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遊戯療法

基本的には子供を対象に行われるものです。カウンセラーは評価をしない態度をとることで子供の不信感をやわらげ、そういった環境の中で生き生きと遊ぶことによって、子供の欲求を解放させることができます。

言語すら不要となるコミュニケーションをとることで、子供の本質的な問題の発見や対人関係の修正、人格発達の促進などに効果を持つと言われています。

 

 

箱庭療法

遊戯療法に改良を加えたものです。大きな木箱の内側に砂が入れられており、これで地面や川、海などを表現することができます。

さらに人や動物、建物、木などさまざまなミニチュアのおもちゃが用意されます。これらを用いて自由に箱庭を作ります。

クライアントの本質的な部分が表現されるため、それを理解することができるとともに、創造活動に打ち込むことによる自己治癒の効果が期待できます。

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精神分析療法

フロイトが提唱したものです。自由連想法と夢分析があります。自由連想法とは、クライアントに自由に連想をさせ、心に浮かんだことをすべて話してもらう方法です。

無意識的なクライアントの思考が次第に浮かび上がるようになります。夢分析とは、クライアントの見た夢をもとに、クライアントの願望を突き止める方法です。夢は無意識の願望が現れるという考えのもとに行われます。

 

これらの方法をもとにクライアントが無意識的にもつ真の願望や欲求を突き止めることで、クライアントの悩みを解消する援助を行う療法です。

これらのもの以外にもいろいろな方法が開発されています。どれが効果的かは人や症状によって異なりますが、「精神」という不確かな部分の悩みを解消するためにたくさんの人々が方法を考え抜いてきたことが分かります。

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