「嫌われる勇気」のアドラー心理学は使える?今までの心理との違い

個人心理学、アドラー心理学は、心理学者アルフレッド・アドラーが考えた心理学です。アドラーの生い立ちである「劣等感」を重点に置いた経験により確立された心理学になります。

 

「嫌われる勇気」のアドラー心理学は使えるのか

出典:Waseda Adler News

トラウマは無い?

今までの心理学は、原因を追求する事で問題を解決するという考え方をしています。しかし、トラウマは無く、全ての行動は目的のためにあると言うのが、アドラーの考えです。

 

目的論

厳格な両親に育てられたため、反抗や反論を出来なかったため、大人になっても自分の意見が言えない。そんな人がいたとします。すると、今までなら、原因は厳格な両親のしつけにあります。

しかし、アドラーに言わせれば、自分の意見が言えないのは、誰かに反論されたりする事を避けるための行動となります。目的は、文句を言われないためと言う事です。

この考えを通す場合、全ては自分が行動しているだけであり、誰かの責任ではないとなります。厳格な両親のせいではなく、自分の弱気な性格のせいになります。

 

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課題の分離

自分の課題と他人の課題は別であるというものです。つまりは、相手がどう思おうとそれは自分の問題ではなく、相手の問題だという事です。

相手に嫌われたとしても、嫌っているのは相手の問題、自分は関係ないので気にしないでいれば良いのです。完全に自分と他人は別の者と考える事で、他人の自分に対する評価を気にして、心を悩ませる必要はなくなるのです。

 

 

嫌われるためにするのは意味違い

勘違いする人の中に、嫌われる事を恐れないと聞いて、わざわざ嫌われる事ばかりする人がいます。挙句には本当に皆に嫌われて孤立する可能性が出てきます。アドラーの言う意味はそういう意味ではありません。

嫌われるかも知れないが、自分の意思を通すという意味です。嫌われる行動や言動をわざとするのは、本末転倒です。しっかり、意味を把握してから実行しましょう。

 

 

全ての悩みは人間関係にある

子供時代には親との関係、学校に上がれば同級生との関係、社会人になれば、社会や会社、友人関係など、全て悩みが発生するのは人間関係からである、と言います。

アドラーの考えによると、自分に対しての劣等感も自分という人間関係の問題となります。劣等感に関しては、アドラー自身も子供時代に持っていたので、自分を分析して出した心理学なのです。

 

 

劣等感

劣等感とは、自分が思う自分に達していないために芽生える感情です。思い通りの自分だったら、劣等感を感じません。人に言われて劣等感を持った訳ではなく、自らが自分を客観的に見て、劣等感を感じているのです。

この劣等感がある事で、それを乗り越えようと努力する心理が働くのです。この心理を上手く使えば、より良い自分になれるのです。劣等感がイケナイという事ではありません。誰でも、完璧でない限り大なり小なり劣等感はあります。

この劣等感を乗り越えようとする行動が大事だという事です。

 

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共同体感覚

共同体感覚とは、自分を共同体の一部と見なす考え方です。他人のする事を自分の事のように感じる事で、喜びも一緒に感じるのです。

サッカーなどの熱烈なファンは、サッカー選手との一体感を感じています。ですから、勝ち負けにより、自分の感情も選手の如くに感じます。このような感覚を持てば、自分がスポーツが苦手でも、スポーツ選手と同じ気持ちを得られるのです。

 

 

アドラー心理学と今までの心理学との大きな違い

ユングやフロイトとの違いは、全ては自分が選択していると結論づけている所です。今までは、自分以外の場所で原因を探しました。社会、環境、生い立ち等です。

しかし、アドラーは、どんな状況や思考だろうと、人間には、それを選択する自由があり、そのような性格を選んだのも自分であるという考え方です。

 

こうなると、今まで環境を配慮したりしていた根拠は、全て壊れてしまいます。問題なのは、選択肢がたくさんある人と無い人がいる事です。

例えば、貧困の酷い国に生まれ、学校に行けない、また、勉強を学ぶ機会が与えられない人がいます。逆に、裕福な国や家庭に生まれ、たくさんの選択肢が用意されてる人です。

これを全部自分が選択した人生なのかと言われたら、それしか無かった人もいる訳です。それを自己責任とするには、少々問題があります。アドラー心理学に反対する人がいるのは、このような内容に関して、問題がある点ではないでしょうか。

 

 

何でも人のせいにする人

このような人には、アドラーの心理学は効果があるでしょう。自分を持つ事により、未来がより良いものになる可能性があります。

 

 

他人の評価ばかり気にする人

何をするにも、周りの目を気にしながら、ビクビクしてしまう人には、課題の分離などは、良い教訓になります。

 

 

劣等感がある人

劣等感を乗り越える壁と見れば、その先に進む勇気が得られます。乗り越えた時点でそれは、自信や勇気に変わります。

 

 

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アドラー心理学に対して

良い部分と疑問の残る部分がある心理学ですね。使う人に寄っては上手く人生を変えられますが、間違うと、とんでもないトラブルになりそうです。

良い部分を活用し、自分が納得出来ない部分は、無視すれば良いでしょう。アドラー氏が言うように、これは「個人心理学」だという事ですね。