ビジネスで使える行動心理学について。行動心理学をご存知ですか?行動を観察することによって人間の心理を紐解く学問です。そこに見出された法則性を利用することで、人の気持ちを察したり、自分や人の行動に影響を与えることができます。
ビジネスシーンでも使える行動心理学的テクニックについてお伝えいたします。
ビジネスで使える行動心理学
ザイオンス効果
営業活動や社内依頼で断られると気持ちがへこんでしまう人も多いことでしょう。しかし、一度断られたからと言ってめげることはないのです。
これは、「もう一度行ってこい!」と上司目線で言っているのではありません。
行動心理学的に“頻繁に接触するものには次第に好印象を持つようになる”というアメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが提唱した「ザイオンス効果」別名「単純接触効果」と呼ばれる、科学的根拠からお伝えしているのです。
あきらめず、少しずつ継続的にお願いしてみることで、相手によい印象を持ってもらえるかもしれませんね。
メンタルセット
敢えて相手が「いいよ。」という単純で簡単なお願いを何度も続けます。そうすると、相手は「あなたからのお願い事にいつもいいよと答える」心理的な流れが出来上がります。
よく子供が盛り上がっている10回クイズ(ダンスって10回言ってみてと言わされる→服を入れるのは?と聞かれる→勢いでダンスと言ってしまうが正解はたんす)がありますが、あのクイズでつい10回言わされたことを答えてしまうのと同じ仕組みです。
これは勧誘などのシーンで有効に使われることが多いものの一つです。他にも、例えば実力はあるのに自信がなくてチャレンジしないような部下に少しハードルの高いタスクをお願いするケースにも使えます。
(もちろん、「はい」と言わせて取り組んでもらう限りは丸投げをせず、ちゃんと面倒を見て完了させなくてはなりませんが。)
返報性の法則は一石二鳥
たいていの人は、相手に何かしてもらうと「何かお返しをしなくちゃ」という気持ちになります。これは返報性の法則と呼ばれています。ビジネスシーンで常に親切にふるまうことは、この法則からも理にかなっています。
すぐにではなくても、相手に「いつも頂いている好意に応えたい」と感じてもらうことができれば、何かのときにお返しが戻ってくるでしょう。これは見返りのために親切にふるまいましょうと言っているのではありません。
行動心理学からは少し逸れてしまいますが、実はヒトは親切にふるまうことで、脳内に幸せホルモンが分泌されます。相手が誰であれ「親切にできた自分」に対して脳が反応するわけです。ですから親切な人でいることは実に一石二鳥、親切にして損はありませんね。
ランチョンテクニック
心理学者のグレゴリー・ラズランは、食事をしながらの交渉は、食事のおいしさや楽しい時間ゆえにいい結果につながるとしています。
食事の時間を共有することで、相手との心理的距離が近くなる効果が生まれるそうです。心理的距離が近くなることで、よりオープンなコミュニケーションが生まれるのはビジネスにとっても好都合。
これがランチョン・テクニックと呼ばれるものですが、日ごろ行われているビジネス接待にも科学的根拠あったのですね。
外見や持ち物を変えてみる
自分に自信を持ちたいときは多いですよね。そんな時に一番早く効果がでるのが「外見を変える」ということです。私たちは知らず知らずのうちに身に着けているものを自分と同じようにみなす傾向を持っています。
これは「拡張自我」と呼ばれるものですが、他人よりも自分を評価したり認識したりする際の対象が「拡張自我」すなわち持ち物なのです。この特性から、持ち物のランクアップを図ることで「拡張自我」が高まるというわけです。
アクセサリーや時計を好きなブランドものにしてみる、いつもよりちょっと贅沢なスーツを新調してみる、でもいいのです。そんなにお金がかけられない、ということであれば筆記用具をワンランク上にしたり、通勤靴を新調することでも効果的です。
これにもやはり科学的根拠があります。ユングが提唱したペルソナは私たちの心理的外見のことですが、ペルソナはある意味心理的外見の仮面を表す一部。
人は服装(持ち物でもいいです)を変えることによって無意識的に立ち居振る舞いや行動を変えるのです。たとえば着物を着てジョギングをしたり、膝を開いて座る人がいるでしょうか?
また、かっちりとしたビジネススーツなのにうつむき加減に内股で歩く人もなかなか見かけませんよね?このように服装はペルソナに大きな影響を与えるのです。これを利用するためにも、「自分がなりたい自分」の服装や持ち物を身に着けることが、自分を変えるためにも有効なのです。
行動や態度を変えてみる
日ごろ無意識に取っている行動こそ、自分自身のパフォーマンスに大きな影響を与えています。プレゼンテーションを前にして緊張するのは皆同じだと思いますが、自信がなくとも「できるフリ」をしてプレゼンするのと、
自信がないからこそ「控えめに」プレゼンするのではどちらがいいと思いますか?控えめにプレゼンしても、「謙虚な人だな」と相手に好印象を与えることもなければ、自分の能力が伸びるわけでもありません。
しかし「できるフリ」をしてその場を切り抜けた後には、その人に「できる能力」が出来上がることが研究で明らかにされています。嘘みたいだと言われそうですが、思い出してみてください。
無理にでも口角を上げると心理的にいい効果がある、と言われたことはありませんか?できるフリも微笑むフリも、ポジティブな結果につながる原理としては同じなのです。
いかがでしたか?ビジネスシーンでは、つい「仕事」として難しさや辛さを感じてしまいがちですが、行動心理学的にものごとを俯瞰することですこし肩の力が抜けるかもしれません。
そして自分に自信がつく行動を”意識的”にとることで、より過ごしやすい時間が増えていくことでしょう。