語学が得意な人の心理的特徴について。日本人はよく、「6年間も英語をやっていたのに喋れない」と自虐交じりに言います。ですがこれ、実は当然なのです。今は少しずつ変わってきてはいますが、学校教育で英語の文法の勉強はしても、英会話の練習はほとんどしてこなかったのですから。
日本人が得意とする受け身のリーディングやリスニングはよくあるものの、能動的に自分意見を発信する方、スピーキングやライティングに割く時間は少ないのです。でも、それにもかかわらず英語や語学が堪能な人はいますよね。それにはいくつかの心理状態がかかわっているのです。
語学が得意な人の心理的特徴
言語をイメージ化しようという心理
言葉を学ぶ上で、特に英語を学ぶ時には、学校でその英単語がどんな意味かを日本語で習ったと思います。appleならリンゴ、play the guitarならギターを弾く、このように英語と日本語という2つの言語を最も良い組み合わせとされる訳で暗記をしたはずです。
ところが、語学が得意な人は中学生のころから他言語を「イメージ化」することに長けています。極端な例でいえば、appleならリンゴという日本語を思い浮かべるのではなく、赤くて熟したあの果物をイメージとして頭に浮かべます。
つまり、言語を学ぶのにその他の言語を介さないのです。どうしてそうする方が良いかというと、英語にも使いどころを迷う単語があるからです。日本語だと同じ、高いという意味を持ったhighとtallや、大きいという意味を持ったbigとlargeなど。
これらは日本語で表現するには単語一言で表せません。かといってそれを丁寧に読み解いていたら時間がかかってしまいます。テストでも時間との丈夫ですが、会話はその比ではありません。
日本語で誰かと会話している時、時間をとってもたもた考えていると会話に参加できませんよね。英語がスラスラ紡ぎだされていく人は、このように英単語を日本語に置き換える作業ではなく、イメージ化する作業の方が早いと感じているのです。
失敗は相手に可愛いと思ってもらえるチャンスととらえる心理
英会話が上達しない人の多くは失敗を恐れるからと言います。文法を習ってきた日本人は、それが間違ったらテストでペケをされ、間違えることは恥ずかしいことだと学んできました。だから文法通りに正しく言うべきだと考えるのです。
一方、次々と言葉が出てくる人というのは、その失敗は恥ずかしいものだとは思っていません。日本人が海外から来た人の拙い日本語を聞いて、その間違えを可愛いと思う現象が逆転することを悟っているからです。
文法的にめちゃくちゃな英語を話してしまったとしても、案外単語だけで相手に伝わることはあります。自分がしたミスを相手に可愛いと思ってもらえるチャンスととらえるので、むしろ失敗は自分を売り込む良いものに変わるのです。
英語が好きならその言葉を母語とする人と会話をする機会は多くなり、その国も好きになるのが普通です。それか、逆にその国が好きでその言葉を覚えたということもありえますよね。
だから相手は自分の国に興味を持ってもらえ、その言語を話してももらえるだけで十分嬉しいのです。外国語が得意な人はその相手の好意に気づいており、だからこそ失敗なんて大きな問題ではないと思っています。
沈黙が怖いという心理
外国語を話す時、言葉が出てこないとそこに沈黙が流れます。この間が怖いという人は無理をしてでも何かしらの単語を言おうと努力をするので、このネガティブイメージから言語が上達していくということがあります。
会話は瞬発力であり常にアドリブです。悠長に机に向かって自分の考えをまとめて書いている時間はありません。その言葉のキャッチボールをするためには沈黙があるのは自分にとっても相手にとっても良い空気感であるとは言えません。
人よりこの沈黙を嫌う傾向を持っている人は、英会話も失敗しながら成長していくスピードが速いです。何でも良いから言葉を発するというのはなかなか大変なことですが、それを自分の力で毎回乗り越えていくのはそれだけ経験値として確実に蓄積されていきます。
この積み重ねで上達していくものなので、脳のトレーニングになっています。嫌いな沈黙状態から脱するには今すぐ自分が何か言わなければならない、そういう現場での「実践」をたくさんやればやるほど会話力は向上していき、続けることによってスムーズな流れができます。
一見ネガティブで何かを回避したいという心理から来ているものですが、結果としてそれが外国語での会話ができるようになることもあるのです。
暗記はしたくないという心理
これもどちらかというとネガティブイメージですが、暗記をしたくないという気持ちから外国語での会話が得意になるケースもあります。スペルを覚えなければいけないのは読み書きの時であり、会話上では必要ありません。
だから学校で習わないような単語を使いこなしているとしても、会話に重点を置いている人は実は書けなかったりすることも珍しくありません。暗記というと机に向かってまさしく勉強しているというイメージですが、英会話というと言語が変わっただけで要はおしゃべりです。
断然おしゃべりの方が楽しいじゃないかという心理が動くと、苦手は回避し好きな方へ向かいたいと思うようになります。それで辿り着いた先が英会話であり、結果喋ることの方が得意となります。
まとめ
英会話に限らず他言語での会話が得意な人は、日本語に縛られないこと、失敗を肯定的に捉えていること、ネガティブイメージを避けたいということ、これらの気持ちが働いているのです。
誰かに教えられることなく元からできたことであるならますます得意になり、日本の英語教育の中でこの感覚が養えたのは大きなメリットとなります。言語は生まれたての赤ん坊が親から聞き、喋るようになり、読み書きし、最終的に日本語なら「カ行変格活用」などの文法に入ります。
ですが今の英語学習はこの逆をたどっています。だから英会話が得意だという人が少ないのは当たり前。得意とする人はその教育とは違った特別な意味を言葉に見出しているのです。