人が他人を見る時に、ある一面だけを見て判断したりします。運動能力に長けていて、行動力がある人物を見た場合、大体の人は、相手の目立つ部分に焦点を当てて推測します。
運動能力が長けているから性格は明るくて、行動力もあるから、しっかりした自立した人、と勝手に尾ひれをつけて人物像を作り上げてしまいます。
自己投影の心理で、自分の精神がわかる?
二面性の両方を見れない
頼もしいと思った相手が、ゴキブリを見た瞬間、悲鳴をあげて逃げていきました。相手の意外な行動に対し、「えっ虫がダメって」と驚くでしょう。
しかし、頼もしいと勝手に思ったのは、自分の勝手な推測であり、初めからその人は虫が苦手だったわけです。スポーツ万能だから、虫なんか怖がらないなんてのは、勝手な決めつけでしかありません。
明るくて行動力がある方が、目立つために、虫が苦手という部分には、ずっと焦点が当らなかっただけです。
太陽の光が眩しければ眩しいほど、人は、影の部分には、着目せず光ばかりを見てしまいます。それと同じで、目立つ部分の方がどうしても目に付き、影の部分は、気にも止めないのです。
逆にひ弱そうな男性が、いとも簡単にゴキブリ退治をしたら、見直した!となります。目立つ部分しか見ないために、もう一方の部分が影になって見えづらくなっているのです。
自分の影の部分
何となく気にいらないって人に出会った事ありませんか。何がどうではないのに、やること成す事癇に障る。何故、そうなのか理解出来なくて、きっと相性が悪いんだで、片付けてしまったりします。
実は、ここに投影心理が働いているのです。相手の嫌な部分は、自分の嫌な部分の投影であると気づかないのです。見たくない自分の嫌な部分を相手に押し付けて、自分はそんな事はしないと、自己防御をしてしまいます。
例えば、いつもサボるのが上手い同僚に対し、嫌な気分になります。自分は休まず頑張っているのに、奴はサボってばかりだ。ズルイ人間だ、と感じ嫌いになります。
しかし、実は自分だってサボりたいのに、我慢してる。それを相手は簡単にサボっている事が悔しいのです。自分の中にある、サボりたいと言う気持ちを相手に投影して見て、嫌いになっているだけなのです。
つまり、相手にしてみたら、嫌われるような行動をしているわけではないのですから、逆恨みに近いものがありますね。
投影に気づくかが鍵になる
もし、この事に気づき、自分の影の部分を認識できたら、自分の人間性がステップアップ出来るチャンスになります。自分では、なかなか、自己の嫌な部分は気づかないものです。ゆういつ、気づく時があるとしたら、この投影が起きた時になるのです。
自分の嫌な部分を相手がやっているから、嫌な気分になるのだ、なら、自分はこの部分を直さなくてはいけないんだな、と思える事が大事なのです。
世界は自分の投影
実際は、なかなか難しい事です。他人の2面性の1面しか見れない人間に、自分の影の部分に気づけというのですから。しかし、ここで投影という心理を知る事で、今まで自分が見てきた世界が、実は自分が勝手に思い込んだだけの世界でしかないと、気づきませんか。
世界の裏まで、知る人はいないでしょう。大体は憶測の上で、多分こうであろうと感じた事を当てはめて世界を見ているだけでしかないのです。
実際、こうだと思っていたものに、裏切られた事ありませんか。それは、裏切られたのではなく、そもそもあなたがそう思い込んでいただけなんだと言う事です。
そう考えてくると、どんな理屈に合わない事も、自分の価値観にそぐわない事も、これが真実なんだと理解出来て来るのではないでしょうか。
刷り込まれた概念
あなたが生きて来た環境や状況の中で、刷り込まれてきた概念があります。その中でしか、人は物事を把握できません。知らない事を想像する事は出来ないのです。目の前に、見た事もない物体があった場合、今まで得た知識の中から似たようなモノを当てはめて人は、推測します。
全く頭の中にはないようなものは考えません。そこに矛盾や間違えが起きて来たりするわけです。ユングの話の中に、UFOに関した話があります。人はUFOを見て、今まで見た事がない物体ですから、個人個人の得た情報だけで、UFOを推測します。
聖書を信仰している人には、終末にはイエスが空から救済に来る、という1節が頭にこびり付いています。そのため、昔の飛行機の無かった時代の信者はUFOを救世主と結びつけて見ていたのではないかと、言っています。
実は、中世の宗教画にはUFOらしきものが描かれているものがたくさんあるのです。
投影心理を上手く使う
自分の中の見えない深層心理を知るには、この投影を使い、相手を見て己を知るというやり方が一番わかりやすい方法になります。
もし、周りに「あの人なんか好きになれない」という人がいたら、どの部分が好きになれないかを認識すると、自分の嫌な部分がすぐにわかります。
その時に否定をしてはダメですよ。否定したくなる気持ちはわかりますが、必要なのは素直になる事。そうすれば、気にいらなかった人とも、仲良くなれるし、自分の嫌な部分も直す事が出来るのです。