更年期女性の心理について。女性ホルモンが急激に低下していく40代以降はいろいろな病気が増えていきます。同じように男性ホルモンも低下していきますが、女性に比べるととても緩やかな低下です。必要以上に不安を抱え込まない方法のひとつは正しい知識を持つこと。
自分の体に起こっていることや今から起ころうとしていることが、女性ホルモンとどのように関係しているのかを知ると、心の準備もできるでしょう。大きな節目ともいえる40〜50代を乗り切るために、更年期の心理をご紹介します。
女性の更年期の心理
イライラ
体の不調は心の不調につながります。「なんだかイライラする」と、些細なことでも腹が立ったり、目くじらを立てます。また、「なんでこんなことするの」と人に八つ当たりをしたり、感情を抑えられないほどカーッとなります。
普段はおとなしい人でも急に変化するため、周囲の人からは「性格が変わった」と誤解されることが多いでしょう。もともと怒りっぽく、感情的な人だけでなく、冷静で穏やかな人でもヒステリックになってしまうのが更年期の症状です。
自分を責める
更年期は自分を責めたり、落胆したりします。これは、イライラした自分に対する自己嫌悪の心理です。
例えば、仕事でも責任ある立場を任されて、上司や部下からも信頼の厚い穏やかなある女性が、部下の報告を上司に話しているうちに大声で泣き出してしまうというケース。
上司や部下が気遣ってくれますが、ますます落ち込み、自分を責めてしまうといった感じです。
感情的に爆発してしまった後、「また八つ当たりしてしまった」「感情を抑えることができなかった」という気持ちがドーンと襲ってきて、恥ずかしさやきまり悪さを感じてしまいます。イライラ感と落ち込みがセットであらわれるのが更年期の特徴です。
涙があふれ出すほど感情が
「負の感情のジェットコースター」ともいわれる更年期は涙腺が弱くなる人が多いでしょう。例えば、映画を見ていると誰も泣いていないところで急にうるうるきて、涙があふれ出しひとりで泣いているといったケース。
いつも感情の浮き沈みが激しく、怒ったかと思うと泣いてしまうといった感じです。それも大泣きするというのではなく、堰を切ったように涙が流れ出して止まらないという様子。
もともと涙もろい人はますます激しくなり、以前は涙もろくなかった人でもくよくよするようになります。
ネガティブ
普段は明朗活発でアクティブな人でも、更年期になるとうつっぽくなって、やる気が出なくなることがあります。強気で勝気だった人でも、「もう私だめだから」と弱気な発言をするでしょう。
いつも外へ飛び回っていた人でも、「人ごみへは行きたくない」と家に引きこもることが多くなります。体力が低下すると気力も低下するのは当然です。
ただ、うつうつとしているため、本人も周囲の人も「心療内科に行った方が良いのでは」と思ってしまがち。更年期による一時的なうつ状態とうつ病とは異なるため、このケースで最初に精神科や心療内科に行ってしまうと、必要のない薬を処方されることが多くなります。
もちろん、医師によっては更年期特有の精神状態を理解して、きちんと処方してくださることもあります。ただ、見極めは難しいため、まず婦人科や更年期専門外来で受診した方が良いでしょう。
被害者意識があらわれる
ネガティヴになる傾向があると、人間関係がうまくいかなくなることも増えてきます。イライラ感に攻撃性が重なって、「私は悪くないのに」「あの人のせいでこうなった」など、被害者意識にとらわれることが多くなります。
悪い思い込みが強くなって、怒りを相手にぶつけてしまうことも。自分でも感情をコントロールすることが難しいため、仕事上のトラブルが多くなるでしょう。家族や友人など、更年期であることへの理解がない人が相手だと溝が深まることもあります。
暴力的になる
感情が激しく揺れ動くため、抑えることができなくなって、暴力的になる女性もいます。意外かもしれませんが、夫や子どもに物を投げつけたり、叩くこともあります。
子どもの思春期とぶつかると、大喧嘩になってエスカレートすることもあるでしょう。また、夫が毎日多忙のため、仕事で家に帰らないこともしばしば。家庭を顧みないため、不満や怒りが爆発してしまうこともあります。
このようなケースは、前もって家族と話し合い、更年期に対する理解を共有しておくと良いでしょう。
更年期が許せない
「若くなければならない」「年をとったと見られたくない」など更年期であることを受け入れられない人もいます。おかしなとらえ方ですが、一般に「年をとるほど価値が下がっていく」という年齢を重ねることへのネガティヴなイメージをもっている人が少なくありません。
美魔女という言葉もあるとおり、年齢を重ねることへの拒否感や恐怖心が、「若く見られたい」という思いを強くさせてしまっているというケースもあります。
そもそも、人間の成熟度は年を重ねるほど増していくもの。「更年期は老年期を楽しく迎えるための大切な時期」と考え、積極的に自分と向き合いましょう。
まとめ
それぞれ個人差がありますので、症状がほとんど出ないという元気な人もいれば、たくさん出ているため、病気ではないかと心配になる人もいます。
体力や気力の低下の他、婦人科系の症状が多いでしょう。心と体の不調がいろいろな形で表面化していきますので、自分の体と健康に向き合うチャンスと考え、上手に対処していきましょう。