マニュアル人間の心理的特徴と弊害について。”マニュアル人間”なんて言葉がありますが、なんでもかんでもマニュアルに従って仕事をしてしまう人はたくさんいますね。しかしマニュアルは決して万能でも、無難でもありません。
それどころかマニュアルに従うことで仕事が上手くいかないなんてことも。今回は、なんでもマニュアルに従ってしまう人の心理と題して、人がマニュアルに従う心理と、その弊害、解決法などお話します。
マニュアル人間の心理的特徴と弊害
マニュアルは役に立たない
会社に入社したり、バイトを始めた時にまず目を通すのがマニュアル。どのようにその仕事をこなすべきか、どのような対応すべきかということが書かれているありがたい教科書のような存在です。
しかしマニュアルは、研修や仕事の導入部分でこそ役に立ちますが、いざ仕事を続けると役に立たないことがほとんどです。
何故マニュアルは役に立たなくなるのでしょうか。それは仕事というものが、人間同士のコミュニケーションから成り立っているからです。
接客業や営業のみならず、どんな仕事も結局は対人関係によって進められていきます。機械相手のマニュアルなら裏切ることはないでしょうが、人間は個人個人違うものですから、誰にでも通じる正しい対応の仕方なんてものは、本来存在しないのです。
マニュアルは企業がどんな従業員がオペレーションを行っても一定の質を保つように作るという意味合いもありますが、企業は個人の違いを考慮することはできません。
顧客それぞれの事情も違えば、従業員のアイデンティティや能力も全く違いますから、個人差を考慮していないマニュアルが役に立たなくなるは当然のことなのです。
マニュアルに従ってしまう人の心理
マニュアルが役に立たないといっても、それに固執して従ってしまう人は大勢います。
自分の仕事のやり方を模索している途上の人ならまだいいですが、マニュアルを完璧にこなすこと=仕事ができると思い込んでいる人は非常に危険だと言えるでしょう。
マニュアルというのは、会社がお墨付きを与えた一種の権威のようなものです。マニュアル通りに対応しておけばOKという安心感を人に与えます。
仕事を始めたばかりの時は、誰もが不安で孤独なもの。仕事をする上ですがることのできるマニュアルがあるのは、ありがたいことでもあります。
しかしいつまでもそれに従って仕事をするのは考えものです。何かの権威にすがるという心理は、自分の心のうちに確固たるやり方が確立されていない証拠でもあります。
自信や能力のない人ほどマニュアルという権威にすがり、融通が利かない仕事をしてしまいます。
マニュアルがなくなったらどうする?
仕事を続けていくうちに、マニュアルがない仕事を任されることもあるでしょう。そんな時マニュアル通りに仕事をしてきた人はどうするでしょうか。
彼らは恐らく、マニュアル以外の別の権威の衣を借りる道を選ぶでしょう。例えば偉い上司の言葉をそっくりそのまま真に受けてイエスマンになったり、過去に成功した先輩のやり方を真似ることに躍起になるかもしれません。
書店に並んでいる自己啓発本の類も、マニュアルと似た効果のある権威です。
「こうすれば仕事は上手くいく!」というようなコピーの自己啓発本をよく見かけますが、個人の状況も能力も、会社の状況や規模も、場所や時流も全く異なるのに、絶対に上手くいくことなんてありえません。
仕事が人間同士のコミュニケーションである以上、個人差というものを考えながら柔軟に対応していかなれば、上手くいくはずがないのです。権威にすがるというやり方は、個人差を考えた柔軟な対応の可能性を排除してしまいます。
高学歴・成績優秀者の特徴
マニュアルや権威にすがってしまう人は、学歴が高かったり、成績が優秀だった人に意外に多いです。学校の成績というものは、いかに出された課題をこなすかにかかっています。
学校や教科書といった絶対的な権威があって、それに応えていれば結果がついてきます。そのような環境で優秀な成績を上げてきた人は、出された課題に応えれば結果が出ることに慣れてしまっていて、教科書や模範解答のない課題が苦手。
どんな仕事にもテストのように模範解答や絶対的な解答があると信じていて、結果的にマニュアルを始めとした権威にすがってしまうのです。
既に説明したように、仕事は人間同士のコミュニケーション。違った個人個人を相手にする仕事に、絶対的な解答なんてものは存在しません。
教科書やマニュアルは、あくまで初心者のためにあるものです。仕事を覚える段階では必要かもしれませんが、いつまでもそれに従っていては、様々な状況には対応できません。
上司や先輩や自己啓発本などの他の権威だって、絶対に正しいなんてことはありえません。まずは絶対的な解答があるという考えを捨て、自分なりに考えて、自分なり答えや対応を考える練習をすべきでしょう。
マニュアル人間にならないために
人は自信がつかないうちは、孤独感や不安を抱き、安定した何かにすがりたくなるものです。しかし安定していると思っているものが、実は不安定だったなんてことはよくあります。
一時的にはマニュアルや権威にすがることは仕方ないにしても、いずれ自分のやり方を確立する意識をもって仕事に励むことは非常に大事なことです。
人間同士のコミュニケーションに絶対的な解答がないことを念頭に置いて、柔軟な対応できる、本当の意味で仕事ができる人間になりたいものですね。