人を認められない理由、心理について。いつの時代も「最近の若者は」と嘆く老人がいるものです。最近で言えば、何かにつけて「ゆとり世代」と揶揄されていますが、そう言う本人たちは「新人類」と同じように揶揄されていたのです。
あくまでも一つの例ですが、人は必ず誰かを批判したがる生き物なのです。人が他人を批判してしまう理由やその感情と上手く付き合っていく方法について考察していきたいと思います。
相手を認められない理由とは?

人間社会には組織によって様々な文化が存在します。世界的に見れば素手で食べ物を掴んで食べる文化もあれば、日本のようにお箸やスプーンなど様々な道具を組み合わせて食べる文化もあります。
また、成人の儀式に自身の身体を痛めつける行為を行ったり、服を着用しない民族が存在したりと常識はその組織によって大きくことなることは明らかでしょう。
故に、自分が常識と考えている文化以外の習慣に直面するとカルチャーショックを受けたり、「自分がこの組織で良かった」と思ってしまったり、またその逆もあります。
そこで理由を考えてみると、異文化に直面したときに人がまず感じることとして「恐怖」が挙げられます。人間は過去の経験や文献などで学習した知識から行動や発言を行うため、同じ文化や勉強をしてきた人間が取る行動や発言に対してある程度の予測が可能となります。
しかし、異文化に直面すると相手がこれから取るであろう行動や発言に対して何も推測することができずに、内在的に警戒してしまうため「恐怖」が芽生えてしまいます。
皆さんは「恐怖」を感じるとどのような行動や発言を行うでしょうか?多くの方は、恐らく防衛本能として相手を攻撃したり、その場から逃げ去ったりするのではないでしょうか。
ゆとり世代

この本能が「ゆとり世代」や「新人類」と揶揄する原因の一つとなっています。同じ組織であっても社会情勢や他集団との関係構築など時代の流れとともに考え方や文化を臨機応変に変えていく必要が出てきます。
そのため、自分たちが全盛期であった頃の「当たり前」が変わってしまい、適応できなくなってしまった時に「恐怖」が芽生えてしまい、知っている文化や知識を肯定するために新しい文化を否定するわけです。
いじめ
このことは、永遠に解決されない「いじめ」の根本的な原因ともなっています。
いじめの原因として挙げられることは、「思想」「容姿」「言語」など組織としてある程度共通していて当たり前のファクターが一つでも欠けていたり異なっていると秩序を守りたい欲求から異文化を排斥しようとして「いじめ」が発生します。
「いじめ」は発達段階の子どもだけに起こる事象ではなく、しっかりとアイデンティティを持ち、道徳心が確立されているはずの大人でさえ起こりうるものなのです。
動物園や水族館で人間以外の動物を観察していても「いじめ」があることが分かる通り、生き物として異物と認識したものは取り除こうという行動はある種、当たり前であるのです。
「恐怖」に打ち勝つには?「ブリーフシステム」

不安や恐怖といったマイナスの感情は、目の前で起こっている出来事と過去の経験や信念が相互に作用し合った結果作り出されれるもので「ブリーフシステム」や「内部表現」と言われています。
この「ブリーフシステム」はその人自身のアイデンティティを形成するものでもあり、育った環境や過去の事象が深く結びついています。
さらに、一生固定されるものではなく常に上書きを繰り返されるものなので、簡単に言えばこの「ブリーフシステム」をいい方向へ上書きすることで異文化にも対応することが出来るようになります。
それでは、どのようにして「ブリーフシステム」を上書きすればいいのでしょうか?まずは、どのような「ブリーフシステム」であるかを理解することから始めましょう。
誰かを批判したくなったり、拒否反応を感じ取った時に白紙の紙に今の感情や思ったことを書き起こしてみてください。その時に過去の経験やどうしてその感情に至ったのか等の理由も交えて書いてみるとより自分の「ブリーフシステム」を理解することができます。
感情に対する原因が分かると、自ずと次に行うべき行動が見えてくるはずです。この繰り返しが様々な文化を認められる力になり、他のどの動物も打ち勝てなかった異文化に対する拒否反応に順応することができるのです。
人間は鏡を見てそれが自分であることが認識できるように、感情に対しても客観視して手直しすることが出来る高度な知的生命体なのです。
批判の対象となった場合は?
これまでのコラムを読んでくださったあなたは異文化に対しての対応方法を知っているため、「恐怖」に打ち勝つことができます。しかし、対処法を知らない人がほとんどなので批判の対象になってしまうこともあるでしょう。
そのときは、こちらが相手の文化を受け入れることで改善されることが多いので、少し癪ではありますが心を広く持って異文化を理解してあげるようにしましょう。