パニック障害の人の心理|常に発作の不安と恐怖が?

常に発作の不安と恐怖があるパニック障害の人の心理について。パニック障害は比較的新しい病名です。1980年から世界的にこの名で統一されるようになりました。特に、働き盛りの人に多く、ストレスがきっかけとなって起きやすくなります。

パニック障害は心の病気ではなく、脳の神経伝達物質が原因です。性格のせいでも気の持ちようでもありません。ここでは、パニック障害の人の心理をご説明します。

 

パニック障害の人の心理

死を意識するほどの恐怖感

パニック障害はいつもと同じように生活しているとき、ある日突然起こります。急に心臓の鼓動が早くなり、息苦しさを感じます。目の前がクラクラして、立っていられないほどになり、その場に倒れこんでうずくまってしまうでしょう。

発汗や体の震え、窒息しそうな感覚や吐き気など、激しい体の症状が一度に起こるため、「気が変になってしまう」「死んでしまうのではないか」という心理になります。

 

パニック障害のパニックは、普段の生活の中で「ちょっと慌てる」という程度のものではありません。激しい不安と恐怖からくる生命の危険を感じるほどの苦しい発作が特徴です。

症状が4つ以上同時に起こる激しいものですが、10分以内に急激に高まった後は急速におさまっていきます。ほとんどの人は30分以内、長い人でも1時間以内におさまるでしょう。

 

そのため、発作が起きて救急車で運ばれても、大抵、病院に着く頃には楽になっています。

診察室では椅子に座ることができるほどになっているため、「さっきまであれほど苦しかったのに」という心理になるでしょう。検査しても、体に異常はないと診断されます。

 

スポンサーリンク

 

また起こるのではないかという不安

パニック障害は突然の発作という劇的な始まりから、その後何度も発作が繰り返される期間があります。パニック発作は一度経験すると頭から離れません。身体が発作の感覚を覚えてしまっているからです。

また、いつでもどこでも起こるため予期できず、いつも不安感があります。リラックスしているときでも、睡眠中でも起こります。

 

突然の発作を繰り返しているうちに、以前発作が起きた場所や状況に身を置くと、緊張が高まって発作が起こりやすくなります。これは、パニック障害が進んでいくと多くみられる症状です。

発作が起こった時の状況を想像してしまい、「発作を起こしても助けてくれる人は誰もいないだろう」「発作を起こしても逃げられないだろう」「人前でとり乱してしまうかも」「事故を起こして誰かに迷惑をかけるかも」といった心理が働きます。

 

このような不安が1ヶ月以上続く場合は予期不安と呼ばれ、パニック障害の典型的な症状になります。

ただ、激しい症状が嵐のように吹き荒れるパニック発作ですが、実際に症状を自分でコントロールできなくなったり、死ぬことはありえません。

 

 

すぐに逃げられない場所や助けを求められない場所が怖い

特定の場所や状況になると発作が起こる場合もあります。不安から逃げられない場所が怖いと感じることを「広場恐怖」と呼ばれています。

広い場所が怖いという意味ではなく、人前で恥ずかしい思いをする可能性がある場所やすぐに逃げられない場所、助けを求めることができない場所にいることに不安を感じることです。

 

人によって異なることがありますが、例えば、エレベーターなど狭い空間や、美容院や歯科医院、映画館など静かに座っていなければならない場所があります。

電車やバス、飛行機や渋滞中の車など乗り物の中や、デパートやスーパーなど人込みの中もあります。また、入浴中や一人で過ごす家の中など誰にも助けが求められない状況でも起こるでしょう。

 

心臓がドキドキするような運動をしたり、映画を見たりすることを避けるようになることも関係します。このような場合、「どうしても必要だから」「家族が一緒であれば」という心理から出かけることができます。

ただ、広場恐怖となる場所や状況を「なるべく避けたい」という思いが強くなっていく場合もあります。

 

スポンサーリンク

 

なにもしたくないとうつうつする

長い経過をたどることが多いパニック障害。パニック障害であっても、広場恐怖症がない人もいます。ただ、7〜8割は広場恐怖症の症状がみられ、日常生活に支障をきたすほどになるでしょう。

治療をせず慢性化した場合、気分がひどく落ち込んで、多くの場合うつ状態になってしまいます。生活の中でできないことが多くなり、「自分は情けない」「発作が怖いから引きこもっているしかない」という心理になります。

 

このような不安定な生活では、精神的なエネルギーが低下していくため、「なにもしたくない」と思うまでになります。気分がすっきりせず、身体も不調になっていき、うつうつとした感情になるでしょう。

これは、うつ病ではありませんが、人によってはうつ病を発症することもあります。パニック障害にうつ病を併発すると治療が長びくため、早めに治療することが重要です。

 

 

まとめ

パニック発作の頻度は人それぞれです。週に3〜7回の人もいれば、月に1〜3回くらいの人もいるでしょう。発病後、半年から数年するとなんとなく調子が悪い状態が続きます。

そのまま放っておくなら、パニック障害の発見が遅れたり、適切な治療を受けることができなくなり、悪化することになります。パニック障害の原因全てが解明されたわけではありませんが、脳の中で起こっているトラブルですから、専門医を受診しましょう。

スポンサーリンク