起立性調節障害の子供の心理とは?

起立性調節障害の子供の心理について。起立性調節障害は自律神経の病気です。起立した時、血圧や脈拍に異常が生じたり、主に午前中に立ちくらみやめまい、頭痛や吐き気などの症状が現れます。発症は中学生の約1割と言われていますが、一般的に知られていないのが現状です。

午前中は具合が悪くても、午後から夜になると良くなることが理由の一つにあげられます。また、朝起きられないため学校を休みますが、午後から夜には元気になるため、「気合いが足りないのでは…」「サボっている」「怠けている」と誤解されることが少なくありません。

本人は「学校に行きたい」「行けないからつらい」といった心理になっているため、その状態が続くと自尊心が低下して、自暴自棄になってしまうこともあります。

 

起立性調節障害の子供の心理

毎日眠れなくてつらいという心理

起立性調節障害の子供は、健康な子供に比べて体内時計がずれているため、自律神経の調節がうまくいかず、すぐに修正ができません。そもそも、人間の体の中に備わっている体内時計は25時間です。

地球周期は24時間のため、朝日を浴びたり、朝食をとったり、学校や会社に行くといった社会的生活によってリセットされて、地球周期に同調することができています。

 

健康な子供は体内時計のコントロールが正常ですから、意識しなくても、朝は交感神経が活発になって、日中活動モードになり、夕方から夜にかけて副交感神経が優位になり、休息モードになります。

一方、起立性調節障害の子供は、朝になっても交感神経は活発にならず、昼頃まで休息モードが続きます。午後になると、やっと交感神経が活動モードになりますが、活動的な状態が夕方から深夜まで続いて、なかなか眠れないといった感じです。中には、昼夜逆転になるほど重症になることもあり、「自分ではどうしようもない」「毎日眠れなくてつらい」という心理になります。

 

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気分が季節や天気に左右されてしまうという心理

自律神経に影響するものの中に天候や気温、天気があります。そのため、起立性調節障害の子供はすっきり晴れた日は気分も爽快でやる気に満ちていますが、天候や気温、季節によっては症状の程度が変わるため、つらい気持ちが続きます。

一般的に春から夏にかけて、また気圧が下がった時に、症状が悪化する傾向があります。気温が上昇し汗をかくため、体内の水分が蒸発して、血圧が低下してしまうからです。

 

曇りや雨の日も副交感神経が優位になるため、血圧や血糖、心拍が低下したり、疲労感が出やすく、意欲が低下してしまいます。具合が悪いとそのまま休んでしまいたくなりますが、横になると副交感神経がますます優位になってしまうため、つらさが悪化してしまうでしょう。

季節や天候で「気分がすぐれない」「やる気や意欲が起こらない」といった心理になってしまいます。

 

 

学校に行く自信がないという心理

起立性調節障害の子供は学校に遅刻することが多くなるため、「授業の途中で教室に入るのは恥ずかしい」「遅刻するなら学校に行くのは嫌だ」という心理になることがあります。

軽症であれば学校生活にあまり影響は出ませんし、中等症であれば日中学校に行き、勉強や部活ができる子供もいます。ですが、重症になると欠席することが多くなるため、「学校の勉強についていけなくなる…」「勉強の遅れを取り戻せないのでは…」といった不安を抱える子供も少なくありません。

 

現状として、学校の教師や生徒が起立性調節障害について知る機会が少なく、理解してもらえないといった状況もあります。午後から学校に来て、元気に活動している様子を見た教師や友達から、「本当に病気なの?」「なんで朝から来れないの?」と言われることも生じます。

だんだん「学校の中で自分の居場所がない」「自分はだめなんだ」といった心理にり、いじめにあったり、不登校になってしまうこともあります。

 

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病気だからしょうがないという心理

起立性調節障害は一度発症すると、長期化する傾向があります。そのため成長するにつれて、身体的な症状はほぼ改善しても、心理的にはまだ治っていない場合が少なくありません。

無意識に「病気だから仕方がない」といった心理が働き、気持ちがマイナス方向になってしまうことがあります。例えば、症状が重くて中学や高校を休むことが多かった起立性調節障害の人は、成人して血圧も心拍数も正常であるのに、「まだ変わらず続いてる」「朝起きられないことが続いている」といった心理になっていることがあります。

学生の時期に学校を長期に休んでいたため、「みんなに引け目を感じる」「自分は本来歩むべき道から外れているのでは…」といった心理になっていることも少なくありません。異常がなくなったと診断された後、「自分は一体なんなのだろう」「自分の立ち位置が分からない」といった心理になることもあります。

 

 

まとめ

起立性調節障害の子供の症状や経過は人それぞれ異なります。周囲にいる親や教師、友達などの理解やサポートは大きな支えになるでしょう。起立性調節障害の子供は大人になっても多少は症状が残りますが、大抵、自律神経のバランスが良くなり、症状は軽くなっていきます。また、症状に合わせて工夫しながら、日常生活を送ることができるでしょう。

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