チック症やトゥレット症候群の子供の親の心理とは?

チック症やトゥレット症候群の子供の親の心理について。チックとは突然、筋肉がピクッと収縮する動きを指す用語で、症状名でもあり、病名でもあります。子供の10人に1〜2人が発症するチック。女子よりも男子に多く1:3の割合で、2〜13歳で現れ始める人が多いでしょう。

チックの一つトゥレット症候群も、ほとんどが5〜9歳の幼児期から思春期にかけて現れ始めます。頻繁なまばたきや首ふりなどが唐突に現れるため、生活の中で奇妙に見えてしまいます。目立つ言動が繰り返し見られるため、親は本人以上に深刻に考えてしまいがちです。

ですが、大抵一時的なものが多いでしょう。以前は心理的なものが原因だと考えられていましたが、段々と神経の病気であることが明らかになってきました。自分の子供にチックが現れると、親はいろいろな不安や焦りを感じてしまいがちです。

 

チック症やトゥレット症候群の子供の親の心理

苛立ってしまうという心理

チックは独特な言動を繰り返してしまうため、親は苛立ったり、ネガティブになったりしがちです。子供が一人でいる時、誰かに答えているかのように「ウン、ウン」と声を出すようになったり、座ってテレビを見ていると、ピョンっと体が浮き上がるくらいジャンプすることもあります。

お出かけすると、あっちにウロウロこっちにウロウロして、親が行こうと思っている方向に真っ直ぐ歩けないこともあります。時には、その感情を子供にぶつけてしまうこともあるかもしれません。

そのような言動は子供を困らせたり、症状を悪化させる可能性もあるため、なるべく避けた方が良いでしょう。「症状は些細な変化だ」「いずれ消えるだろう」と考え、長い目で見ることができます。

 

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押さえつけてしまうという心理

まばたきしながら首をコクッとしたり、ジャンプしたりする子供を見ると、親は「やめなさい」と押さえつけてしまうことがあります。チックはわざとやっているわけではなく、自然に出てしまうものです。

意図的にやっているように見えても、完全に抑制することは難しいでしょう。親は叱ったり、罰したりしたくなるかもしれませんが、逆効果になってしまいます。「いい加減にしなさい」といった心理になるかもしれませんが、抑えましょう。

ただし、友達が嫌がることをするなど、チックの症状以外の悪い言動は「それは悪いこと」ときちんと叱ることが大切です。子供も自分の行動に非があると分かると納得し、自分を変えることができるからです。

 

 

テレビやゲームをやめた方が良いのでは…という心理

チックの現れ方はいつも同じというわけではなく、ある時には激しくなる場合もあります。例えば、テレビやゲームなどに熱中してワクワクしている時ほど、普段よりも激しく現れることがあるでしょう。

親は「制限した方が良いのかも…」「やめさせた方が良いのでは…」といった心理になることがあります。ですが、テレビやゲームをやめたら、他の時間もチックが減るというわけではありません。

子供がテレビやゲームばかりしているという状況でない限り、チックが出やすからといって、きなさまざまな楽しみごとを制限することもないでしょう。症状の出方には変化がありますので、一喜一憂せず生活することができます。

 

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自分を責めてしまうという心理

チックは心の問題ではなく、脳の問題であることが明らかになっています。特に、脳の体質が親子で似ており、遺伝的な要因も強いとも言われています。ただし、必ずしも遺伝するとは限らず、環境など他の要因も関係することがあります。

例えば、帝王切開や長時間分娩、未熟児や横断、へその緒が首に巻きつくといった出産時の状態、妊娠中に使用した薬、コーヒーやアルコールの過剰摂取などです。

 

チックの症状が現れると、親は「私が十分にしてあげていないから…」「子供に干渉し過ぎたのでは…」と思い返して悩んでしまうことが多いでしょう。

以前は、医師の中にも「あなたのせいです」と言う人がいました。ですが、今は研究が進み、育て方やしつけとは関係ないことが分かっています。「育て方が失敗だった」と自分を責めないようにしましょう。

 

 

どうしようもないという心理

チックは脳の問題であると言われています。特に、脳の大脳基底核と言われる部位のトラブルで、脳内の神経伝達物質であるドパミンの働きの偏りが原因ではないかと考えられています。

ただ、ドパミン以外もあると推察されており、一定の研究結果はまだ明らかになっていません。小児科や精神科での診療で「脳が問題である」とか「脳の体質だから」と言われると、「もう、どうしようもないのでは…」と落ち込んだり、「もし一生治らなかったら…」と不安になる親もいます。

ですが、チックの多くは成長とともに修正されていきます。また、症状がひどい場合は有効な薬物療法がありますので、過度に心配しないようにしましょう。

 

 

将来が心配だという心理

子供の将来を心配するのは親の常ですが、チックが現れている子供がいる場合、特に心配してしまいます。「進学できるのだろうか」「ちゃんとした職業につけるのだろうか」といった心理になることがあります。

また、「生活はどうなるのだろうか」「結婚できるのだろうか」と考えることもあります。ですが、チックの95%は一年以内に消えることが多いため、将来に悪影響を与えることはほとんどありません。親が悩んでしまうと子供にも伝わります。どーんと大きく構え、ポジティブに考えましょう。

 

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まとめ

子供にチックの症状がある場合、小学校高学年になると汚い言葉や性的でひわいな言葉をつい言ってしまったり、反社会的な行動を繰り返してしまうことがあります。そのため、周囲の人に誤解されたり、学校でのトラブルを抱えがちになります。

また、トゥレット症候群は慢性のチック障害の一つで、さまざまな重症度がありますが、チック障害に比べると症状の数が多く、持続期間が長いでしょう。

親はチックを子供の特徴の一つとして理解し、過大視しないようにするとともに、親子で話題にすることができます。子供はチックやトゥレット症候群について正しく理解し、個性の一つとして考えることができるでしょう。