放任主義で育った子供の心理的特徴について。「いつまでゲームやってるの!」「宿題をしなさい!」「早く寝なさい!」そんな風に、「~しなさい」、「~するな」とすべきこととしてはいけないことを明確に言ってしつけられて子どもは多いです。
それを「うざい」と思い、反抗的な態度をとったという人も少なくないのでは?ところが、その反対に放任主義で子どもを育てたという人もいます。子どものやりたいようにやらせるというこの方法では、子どもはどんな心理状態になりやすいのでしょうか。そのメリットとデメリットを見ていきましょう。
放任主義で育った子供の心理的特徴
自発的に考える子どもになる
親から言われて何かをしたり、逆に何かを制限されるというのは、ただ指示に従っていれば良いので自分で能動的に起こした考えや行動ではありません。しかし、放任主義で育てられた子どもは、基本的な躾で学んだしてはいけない範囲に踏み込まなければ自由です。
だから圧倒的な選択肢の中から自分のしたいことを選びとることが得意になります。それがたとえ大人から見たら無駄であることであっても、自分が楽しいか楽しくないか、したいかしたくないかという純粋な気持ちに従うことが可能です。
好きこそものの上手なれとはよく言いますが、その自分で見つけた「好き」が、後に大きな特技となることも少なくありません。好奇心旺盛な子どもからすれば色んな経験ができて、縛りもなくのびのびと育っていきます。
自発的に考えて行動することは、自ら考える能力を使うので勉学にも活かせますし、行動力がある人間形成にも関係していきます。いわゆる指示待ち人間にならず、新しいことに自分のやり方で挑戦してみようという意欲が高い子どもになります。
放任主義は決して放置しているわけではないので、最低限の躾はもちろんしています。これを守れる比較的聞き分けの良い子どもであれば、この教育方法は成功する確率が高いです。
そうでなければどうしても親から注意することが多くなってしまうので、子どもはそれを「うるさい」と感じてしまいます。けれど親としてもいけないことは注意せざるを得ないのでどうしても口うるさくなってしまいます。
愛情不足と感じる子どもになる
ところが、あまり好奇心がない子どもの場合、放任主義ゆえの自由が裏目に出る場合もあります。何をしたらいいかわからなくなり、すべきことを言ってくれる存在を求めます。この場合、親から愛情を注がれていないと感じてしまうことがあり、愛情不足となります。
親からしてみれば放任主義で育てるのは教育方針でありそんなことはないと思っているのですが、子どもがどう感じるかはまた別問題です。自分のことを自由にさせてくれているというよりかは、こうしなさい、ああしなさいと言ってくれなことは自分に関心がないのだと感じます。
中には間違ったことをしたらそれは注意するけれど、そうでないから何も言わないという親もいます。子育てに正解も間違えもないのですが、それが間違いだと言われるとしたら子どもがその教育方針でどう思うか一つでしょう。
放任主義は指示待ち人間にはならないと言いましたが、放任主義にしたからと言って全ての子どもがそうならないとは限りません。その理由は子どもの性格によるもので、この場合は好奇心がどれくらいあるかによって変わります。
好奇心が人よりなければ、自分がどうあるべきか指示してくれない親に対して、愛情が欲しいと思うかまってちゃんになる可能性だってあります。
期待されていないと感じる子どもになる
将来、どんな職業についてほしいか、それにはどのレベルの大学に行く必要があるのか、そのために日頃の成績はどれくらいが良いのか、それが見えてくる親は、自分が子どもの頃に勉強ができていなかったとしても子どもにそれを求めることがあります。
対して、放任主義は本人の意思決定を尊重しているため、テストの点数が悪いから、良いからと言って特に何も言わないことがあります。プレッシャーがない分子どもにとっては放任主義の方が良いようにも思えますが、果たしてそうでしょうか。
後者の場合、テストの点数が悪いことを責めないのは子どもにとって安心かもしれませんね。ですが、それで本当に良いのかを諭す指導を怠ると、そのまま勉強しなくてもいいんだと思ってしまいます。
放任主義は、転機となるところで一言言うのは、日頃言っていないことから大変効き目があります。節目節目で大切なことを言えば、子どもはわかってくれるでしょう。一方、良い点数をとった時に褒めてもらえないというのはかなり寂しいことです。
自分ではやったと思ったことを、一番自慢したい親に褒めてもらえないのは悲しく、自分から褒めてとも言えません。いつも勉強しなさいとうるさく言われるという友達をむしろ羨ましく思い、自分も親から期待されたいと思うようになります。
頑張りが認められないことを早くから知るのは現実を見る機会になるかもしれませんが、何をやってもどうせ報われないとひねくれてしまうことには注意したいところです。
まとめ
同じ放任主義でも、それが子どもにどんな影響を与えるかはその子どもの性格によるところが大きいです。良く出れば、自発的に考え行動し、制限のない中でのびのびと生きていける子どもになります。
悪く出れば、愛情不足と感じ、期待されない自分の力のなさを早いうちから植え付けることになります。これから子育てをしていくという場合、「よし!うちは放任主義でいくぞ!」と初めから一貫させるのではなく、その子の性格に応じて臨機応変に変更していくのも一つの方法です。
その指導方法が良い方に転ぶか悪い方に転ぶかがあらかじめわかっているのなら子育ては苦労しません。わからないからそれぞれの家庭の数だけ子育て法があり、子育てに関する書籍などがたくさん売れるのでしょう。
放任主義が良いなと思っているならば、そのメリットだけでなくデメリットも重々把握しておく必要があります。子どもがどう感じているか知るために、毎日接する時間を持つのは基本です。子どもはまだ言葉が達者でないので、大人が子どもの心理状態に気づける距離作りをしておくと良いでしょう。