モンテッソーリ教育とは?どんなことをするの?

将棋界で、驚異的な強さを発揮している藤井聡太さんですが、小さい頃通っていた幼稚園の教育方針が、モンテッソーリ教育だったそうです。

一体、モンテッソーリ教育とはどのようなものなのでしょうか?モンテッソーリ教育は、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか?

 

モンテッソーリ教育とは?どのような教育方針?

出典:Wikipedia

モンテッソーリ教育は、マリア・モンテッソーリというイタリアの女性医学博士が、障がい児の治療教育や貧困層向けの保育施設で指導していく中で、生まれたものです。

モンテッソーリ教育の基本の考え方に

『子どもは、自らを成長・発達させる力を持って生まれてくる。大人はその要求を汲み取り、自由を保証し、子ども達の自発的な活動を援助する存在に徹っしなければならない』

というものがあります。

つまり、モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間に育てる」事にあり、大人はその目的のもと、子どものそれぞれの発達段階に応じた援助に徹する事が大切になります。

 

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モンテッソーリ教育の特徴は?

モンテッソーリ教育の特徴として、『自由の保証と敏感期を育てる』事が挙げられます。

敏感期には、運動・感覚・秩序・話し言葉・文字・数・文化の敏感期などがあり、それらを育むためには、子ども達が同じことを集団で取り組むのではなく、個々が自分のしたい活動を自分のペースで、納得行くまで繰り返し取り組む事が必要だと考えられています。

その為、モンテッソーリ教育は、敏感期に伴った発達プログラムに基づき、5つの実践課目が設けられ、それらに応じた独特の教具が用意されていますが、子ども達は自発的に好きな活動を好きなだけ取り組むということが尊重されているため、カリキュラム通り活動しなくてはいけないわけではありません。

 

 

モンテッソーリ教育で集中力が身につく?

モンテッソーリ教育で直接的にも間接的にも身につく事は多くあります。

例えば、上でも挙げた『ピンタワー』という教具に興味を持った子どもが、何度も繰り返し積み上げては崩しを楽しむ中で、手先の操作性であったり、物質の在り方など、その教具本来の目的を学んだり、何度も集中してその遊びに取り組む事で集中力が身につくでしょう。

 

また、モンテッソーリ教育では、子どもの自由を保障し、自立を目指しているため、自己肯定感が育まれたり、自己主張出来るようになったりもします。

他にも、様々な教具に触れることで手先が器用になったり、少ない教具を交代で使うことで、社会性や協調性が身についたりもします。

 

 

向く子向かない子供はいるの?

本来のモンテッソーリ教育を実践している施設であれば、子どもの向き不向きはありません。

そもそも、モンテッソーリ教育の出発は、知的障害児の教育が発端で、ひとりひとりの子に向き合い、発達や性格などを理解した上で常にその子その子に合った教育を提供する教育方針であり、子どもは、自分の好きなことを好きなだけ出来るわけですから、向き不向きが出るはずがないのです。

 

しかし、日本の教育は、『みんな一緒に同じことが出来る』事が最低限の目的であることが多く、小学校以降は特にそれを要求される場面が多いため、そこを見据えると、本当の意味でモンテッソーリ教育を忠実に実践できている幼稚園や保育園は、多いとは言えません。

モンテッソーリ教育を行う施設に置いて、不向きな子がいた場合、その施設は残念ながら、モンテッソーリ教育の形を真似て、そこに子どもを合わせる教育法なのかもしれません。

 

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モンテッソーリ教育の実践課目とは?どんなことをするの?

出典:Wikipedia

5つの実践課目とは、日常生活の練習・感覚教育・言語教育・算数教育・文化教育に体系化されています。これらの課目では、子どものそれぞれの敏感期を元にして、マリア・モンテッソーリによって考案された教具が使われています。

 

日常生活の練習

この教育の基礎になる課目です。運動の教育として位置づけられたこの課目は、「模倣期」かつ「身体発達と運動の敏感期」である2~3歳の時期に、秩序だった動き方や見のこなし方を伝え、そのことで、子どもは自分のことを自分でできるようになり、結果自立心や独立心が育ちます。

例えば、おままごとセットの教具にしても、簡単に洗えたり、落とすと壊れてしまう素材のものを使い、子ども自身が汚れに気付いて洗って清潔を保ったり、壊さないように扱うことに慣れる練習を遊びの中から身につけられるよう環境を設定します。

 

 

感覚教育

感覚を洗練させ、ものを考える方法を身につけさせることを目的としています。これには比較することを基本に「対する」「段階づけ」「仲間分け」の3つの操作法が組み込まれており、モンテッソーリが考案した教具に触れる活動を通して体得していきます。

例えば、大小10個ほどの立方体を大きい方から積み重ねていく『ピンタワー』や触り心地の違う『触覚板』で触覚を養うという活動があります。

また、これらの教具は、教室にあえて1セットずつしか用意されておらず、そこで自分の番を待つことを覚え、社会性やマナーを身につけられるように設定されています。

 

 

言語教育

語彙を豊かにすることを目標に、話したり書いたり読んだりすることを、教具を使って行い、そこから文法や文章構成へと進みます。

具体的には、日常生活の練習と感覚教育を基礎とし、子ども達に適したゲームなどの遊びを、言語教育の導入や展開に用い、教具を使って運針練習をしたり、ひらがなやカタカナを指で書く練習をしたりします。

 

 

算数教育

モンテッソーリ教育に於いて、算数教育は抽象的な認識に至らせることを目指すため、抽象的・倫理的な力が要求されます。

その為、算数棒やビーズなどを使い、視覚や感覚を通して、数や量を実際に感じさせることから始め、多くの教具を使って様々なステップを踏みながら、数量概念や十進法などの抽象観念へと無理なく導きます。

 

 

文化教育

歴史・地理・生物・音楽・道徳(宗教)・美術など多岐にわたった能力を育みます。これらは、教具である絵カードや地図のパズルなどの教具で学ぶだけでなく、実際に身近な事物に触れたり、観察したりする中で、それらの文化を獲得する態度を養います。

 

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モンテッソーリ教育は、日本には適さない?

モンテッソーリ教育において、素晴らしいところは沢山あり、事実モンテッソーリ教育を受けたことで、驚異的な集中力や個性を発揮して、世の中で素晴らしい実績を収めている人が多くいることも事実です。

しかし、日本においては、手放しにこの教育法を受け入れがたい部分があるのではないかと、保育士をしていた筆者は思うのです。あくまでも、筆者の個人的な意見なのですが・・・。

 

というのも、モンテッソーリ教育では、人間として完成するのが24歳頃と考えられ、海外では幼児教育だけにとどまらず、それ以降も教育に取り入れられているのです。

しかし、日本で幼児期以降もモンテッソーリ教育を受けられる場所は、ほとんど皆無で、その後はその教育法を受けることが出来ません。となると、教育が完成しないまま、小学生になって、いきなり日本の教育方針に身をおくことになります。

 

小学校では、皆さん御存知の通り、みんな同じ授業をしたり、一つのことに取り組んだりと、集団生活を重んじられます。しかも、学校はカリキュラムは時間で区切られていで、どんなに好きなことでも、時間が来たら終わらなくてはいけません。

つまり、保育園・幼稚園では、年長までにみんなと協力することであったり、一つの課題に取り組んだりと、みんなと合わせて行動する事をそれなりに身に着けておくことが大切になってくるわけです。

 

でも、モンテッソーリ教育では、個々を大切にするため、対人関係であったり集団で一つのことを協力しながら成し遂げる経験は、あまり出来ないというデメリットがあります。

しかも、モンテッソーリ教育を実践する教育者の知識や力量に寄って、その効果が大きく左右されやすいというデメリットもあるのです。そうした場合、集団行動に馴染めなかったり、自主性が際立つとと、身勝手でわがままという印象を与えたりする可能性が高くなってきます。

それらの考えから、日本でモンテッソーリ教育を受け入れがたい部分があるのではないかと感じるのです。

 

まとめ

いかがでしたか?モンテッソーリ教育は、個々の自由を尊重し、子ども一人ひとりの好きなことに十分取り組むことで、集中力が身についたり、自己肯定感を高めたり、自分で考え主張する事のできるメソッドでした。

反面、本来の意味でのモンテッソーリ教育を受けることは日本では難しく、また日本の教育の中では、少なからずデメリットもありました。

流行りに飛びつくのではなく、どのような教育環境の元で子どもを育てたいのかをしっかり考え、その教育法のメリットもデメリットも把握した上で決めてくださいね。