SNSの炎上が起こる原因・心理とは?

SNSの炎上が起こる心理や理由、原因について紹介します。

 

SNSの炎上が起こる心理・原因

今や「炎上」はステータスシンボル?

Twitter、Facebook、インスタグラム、Google+、LINE…等々、ソーシャルメディア(SNS)は今やインターネット上で最も頻繁に利用される交流媒体といっても過言ではないでしょう。

そしてまた、SNS上のどこかで毎日起こっているのが、特定アカウントに対しての不特定多数の集中バッシング。いわゆる「炎上」と呼ばれる現象です。

 

かつては有名タレントが自身のブログで公開した発言や画像、あるいは動画に対して、閲覧者が「気に食わない」とか「ウザい」「おかしいだろ」などの攻撃心理に基づいた罵詈雑言コメントを付け、それが数百数千単位まで及ぶネット特有の集団リンチ状態へと広がって、ブログ主が当該発言を削除、もしくはブログ自体を閉鎖させるに至るという展開が通り相場でした。

それが近年では、SNSという発言が簡易な場におけるやりとりと、拡散のスピードアップも手伝って、ブログ時代とは比較にならないほど簡単に「炎上」状態になります。

 

それと同時に、発言者であるタレントの方も「いやー、またTwitterが炎上しちゃいましたよ」などという具合に「炎上」という単語をあたかもネットのステータスシンボルのように気楽に使用しているのが現状です。

その結果生まれたのが、わざと不特定多数の反感を買う発言を自主的に発して、世間を自分に注目させ、アクセス数を稼いで広告収入などの利益に繋げる「炎上商法」という手段です。

 

「炎上商法」は確かに一時的に注目度こそ高まるものの、時に多大なリスクを背負うこともある諸刃の剣ですから、ちょっと目立ちたいからという安直な心理だけで利用するのは避けなければなりません。

では、こうした「炎上」が公共の場たるSNSで連日のように起こるのは、どういった経緯があるのでしょう?ちょっと心理学的に掘り下げてみたいと思います。

 

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自己主張の4つのパターン

すべての人間が生まれついて持つ欲求の種類には、食欲、性欲、睡眠欲があります。これに加えてもう一つ、自己主張欲求というのも存在します。多くの場合、集団組織の中で自己を承認してほしいという承認欲求がベースにありますが、内在する発散欲が満たされる場合はその限りはありません。

よくある例が、自分の頭の中の想像力を発揮するためにポエムを書いたり、一日溜まったストレスを日記に書いて気を晴らしたりする行為です。大昔から続いているこれらの行為は、考え様によっては文学の基礎ともいえるかもしれません。

 

こうした自己主張欲求は、「誰に向けた自己主張か」、すなわち受け手側の人数規模を考えることにより、4つのパターンに区分することができます。1つめが前述したような「自分だけに向けた自己主張」。相手は存在しません。

2つめが「至近の一人に向けた自己主張」。友達と喋り合ったり、恋人に電話で話したり、差し向かいで人生相談をするシチュエーションなどがこれに当たります。

 

3つめが「特定の小グループに向けた自己主張」。学校のクラスやサークル、家族のいるリビング、お店の中など、閉ざされた少人数の空間がこれに当たります。

そして4つめが「不特定多数に向けた自己主張」。3つめと違う所は、自己主張を発する人物が聞く相手の顔や性格を想定できるかできないかです。クラスならばたとえ人数が多くても一つの部屋の中、同じ時間を共有できます。

 

駅の構内や何万人と集まるスタジアムのように、不特定多数の出入りする空間では個人個人を認識することは困難です。そして、放送の電波を利用した芸能人のトークや、活字媒体を利用した文筆家のコラムなどは、このシチュエーションで自己主張をしているわけです。

ここで挙げた4種類の自己主張の区分は、あくまで「自己主張したいという欲求を解決する」ことが目的によるもの、分かりやすく言うと「溜まっているものを発散してスーッとしたい」「自分の意見に対して頷かせたい」という一人称単位のものです。

相手に気遣ったりとか、グループの親和を維持したりとかいった心理は、自己主張欲求とは別の社会心理に基づくものですので、ここでは別ジャンルと考えてください。

 

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SNSにおける認識の相違、そして「炎上」

前項の4つの自己主張欲求をご覧になって、既にお気付きの方もいらっしゃるかもしれません。近年インターネットのSNS内で起こるトラブルの多くは、こうしたユーザー相互の「自己主張欲求」のぶつかり合いであり、さらに言えば受け手の人数規模の認識が発信者と閲覧者で違っていることから発生するパターンなのです。

本来は日記に書くような熟慮の足りない独り言をTwitterでつぶやく芸能人は、「いいね」欲しさに功を焦って投稿してしまったのだと考えて、仮に発見しても攻撃することはせず、距離を置いて見守ってあげましょう。同時に、「炎上商法」を狙っている手合いを見つけた時は、当事者が図に乗らないように無視するのが得策でしょう。

 

ただしこれらの対策は芸能人に限りません。一般人でも危険なパターンはあるのです。普段政治のことなど考えてもいないくせに、ちょっと飲み屋で仲の良い人間数名の前でやったオレ流政治論が評判よかったから…と、不特定多数のSNSでリピートした結果、誰からも支持を得られない上「バカの発言」としてリツイートされて晒し首…という状態です。

くれぐれも、SNSは不特定多数の人間による自己主張欲求の吹き溜まりであることを十分認識した上で、上手に立ち回ることをお勧めします。

 

 

今後ネット上でよりよい自己主張をしてゆくために

インターネットにおける自己主張といえば、20年前なら自分のホームページを作って日記を書くことが最もスタンダードでした。その形態が数年後ブログに移行して、現在ホームページで日記を更新する人はまずいないでしょう。

そして現在ではSNSが主流となり、ブログサイトを閉鎖する会社が続出しています。これから数年後、SNSに取って代わるネットの自己主張媒体が登場するかどうかは分かりませんが、それらを受け容れるのは私たちユーザーの役目です。

トラブルを無くす一番の早道は、ユーザー間の自己主張欲求に対する認識のギャップを減らすことでしょう。それには、お互いがネットを通じて感じる痛みや傷つきに、もっと敏感になれるようにしたいものです。

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