むずむず症候群の人の心理について。むずむず症候群はレストレスレッグスト症候群(下肢静止不能症候群)とも呼ばれています。「レストレス」は「落ち着かない」を意味し、「レッグス」は「脚」という意味があります。
症状は、文字通り足がむずむずして動かしていないと耐えられない不快感があること。
むずむず症候群の人の心理
脚を動かさずにはいられないという心理
むずむずする感覚は誰にでもあるものです。一般にイメージするのは、皮膚の表面がかゆく、むずがゆいといった感じかもしれません。この場合は皮膚の病気が関係していることが多いでしょう。
一方、むずむず症候群の場合は皮膚の深部がむずむずしたり、不快感があります。それも、湧き上がってくるような感覚があるため、「脚を動かさずにはいられない」「じっとしていることができない」という心理になります。
中には「虫が這っているようだ」「炭酸が泡立っているみたい」「電流が流れているのかも」という心理になる人もいます。皮膚表面のかゆみとは全く異なるものであることが分かります。
いっそ脚を切ったほうがいいという心理
不快感が最も強く現れるのはふくらはぎと言われています。次が太もも、足首の順番になります。中には「脚の奥の方に手を突っ込んで掻きたくなる」「いっそ脚を切断したほうがまし」といった心理になる人さえいます。
症状は脚に出ることがほとんどですが、約10%の人はお腹やお尻、肩や腕、顔などにも不快感を訴えることがあります。最初、ふくらはぎにしか現れていなかった人も、症状が太ももやお腹に進行する人もいます。
また、左右両方現れる人や、どちらか一方に症状が現れる人もいます。ほてりや熱さ、痛みやだるさ、ひきつったりうずいたりする人もいます。
眠った気がしないという心理
むずむず症候群の多くは、夕方から夜にかけて不快な感覚が湧き上がってきます。20〜30分くらいで治れば良いのですが、夜に症状が増すため、明け方まで続くこともあります。
そのため、「眠れなくて辛い」「眠った気がしない」「体の疲れがとれない」という心理になります。さらに症状が進行すると、昼間にも現れるため、職場や移動中の電車や車の中でも「じっとしていることが辛い」という心理になります。
睡眠不足のため「ちょっとお昼寝したい」と思っても、「脚は動かしたくて仕方ない」といった感じですから、強いストレスに悩まされてしまうでしょう。
いてももたってもいられないという心理
むずむず症候群の特徴の一つは、安静にしている時に不快な症状が起こるというものです。ソファでくつろいでいる時や椅子に座っている時、ベッドで横になっている時などに起こるでしょう。
例えば「夕食を食べた後はテレビを見ながらゆっくりしたい」「少し疲れたからソファで休もう」「リラックスして本を読もう」と思うことがありますね。
でもそんな時こそ、じっとしてはいられないという不快感が起こるため「いてもたってもいられない」「イライラする」という心理になってしまいます。
中には、昼間に映画や音楽鑑賞する場合など、始まるギリギリに座ります。その最中は座っていることができず、トイレに行くふりをして出なければならないといったこともあります。
動きだすと楽になるという心理
むずむず症候群の他の特徴は、軽い運動をしていると不快感が軽くなるというものです。安静にしていると「足踏みしていないといられない」という気持ちになり、じっとしていられませんが、動き出すとスーッと症状が軽くなるのを感じます。
脚を動かしたり、マッサージしたり、たたいたりしたくなるでしょう。中には「歩いている時は症状を全く感じない」という心理の人も多く、「イライラしなくなる」「気持ちが楽になる」という人もいます。
夜に症状が強く現れるため、脚に感じるチリチリとした感覚やむずがゆさから、どうしても眠れない時、パジャマの上に上着を羽織って家の周りを散歩すると、しばらくして症状が軽くなり、「やっと眠れるようになる」という人もいます。
なかなか眠れないという心理
むずむず症候群の約5〜8割の人に起こるのが脚のピクつきです。周期性四肢運動とも呼ばれています。症状は、眠っている間に脚の筋肉に瞬間的な痙攣が起きて、勝手に脚が蹴られるようにピクっと動いてしまうことです。
不思議なことに、本人は気づきません。一般に、疲れている時や寝入りばなに、体や脚の筋肉が痙攣してピクッとなることがありますが、それとは異なります。
周期性四肢運動の場合、脚の痙攣が0.5〜1秒に1回起こり、それが4回以上続いて、1時間に15回以上起きてしまいます。足首から先が反り返ったり、脚の指が扇のように開いたり、膝の関節や股関節などが折れ曲がることもあります。
多くの痙攣で1時間のうち2〜5回目が覚めるため「なかなか眠れない」とか、1度目が覚めるとなかなか寝つけないため「眠りが浅くなる」「睡眠の質が低下する」といった心理になります。
気分の落ち込みや不安感という心理
疲労がたまっている日や、カフェインなどの刺激物をたくさんとった日の夜に、脚の奥がむずがゆく感じて、寝つきが悪くなるという人もいます。脚への不快感はよくあることなので、すぐに「むずむず症候群なのでは…」と不安になる必要はありません。
ですが、日常生活に支障がある場合、問題になるでしょう。例えば、日中の活動力や集中力、持続力が失われて、通常の仕事や家事などができなくなることや、質の良い睡眠が十分とれず、うつ病や不安障害など精神的な病気を抱えることなどです。
精神的なストレスが大きくなると、気分の落ち込みや不安定な感情になってしまいますし、昼間に眠気や倦怠感などがあると、ミスやエラーも増えてしまいますね。実際、むずむず症候群の多くは、「夜眠れない」という心理から受診される方が多いでしょう。
まとめ
むずむず症候群は一般の人や医師の間でも広く浸透していないため、病院を受診しても適切に診断されることが難しい病気です。脚にむずかゆさや痛みがあって眠れず、生活が不安定になる人の多くは、大抵、内科や皮膚科、整形外科を最初に受診することが多いでしょう。
この病気は、睡眠医療の専門医による治療が中心です。複数の病院や診療科を受診してしまい、適切な治療を受けられないといったことを避けるためにも、睡眠医療の専門医がいる病院を探して受診しましょう。