完璧主義者の心理的特徴、デメリット、要因は?

完璧主義者の心理的特徴、デメリット、要因について。完璧主義の人は一夜にしてできたわけではなく、幼少の育ち方とか性格的なものとか原因はいろいろです。何にでも理想が高く完璧にこなさないと気がすまない人達のことをいいます。

しかし、現実的には完全にすべてのことが達成できるわけではないことから、そこに完璧主義の人たちの苦しみも生じます。そんな完璧主義とは、どんな心理状態なのでしょうか。

 

完璧主義って何?

完璧主義とは、定められた時間内に完璧な状態を目指そうとする心理状態にあることを差します。そして、そういう人を完璧主義者と言います。

端的に言うと、何事も中途半端にできずに全てのことを完璧にこなさないと気が済まないタイプの人をいいます。一人の人が完癖主義になるのには、資質のためや育った環境などの影響もあるのではないかと言われています。

 

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完璧主義の異常心理

完璧主義にはいろいろなパターンがありますが、そこに共通するのは自分の期待通りに物事を進めていかないと、すべて失敗に終わったようにしか思えないといういわば強迫観念に左右されてしまうことに問題があります。

実際に強迫性障害を持つ人のほとんどが、完璧主義者であるとも言われています。自分の計画や企画がうまく機能し達成している時には意欲も高く物事を遂行できているのですが、ちょっとつまずいたり失敗をすると、自己否定に陥ってしまいがちです。こうしたことから、仕事や対人関係などで壁にぶつかりやすいと言われます。

 

 

完璧主義者になる要因とは?

完璧主義者になるには、環境的要因とその人自身の資質があります。

 

環境的要因

幼少期の親の対応の仕方が、影響します。例えば、教師や親がテストの点でしか評価してくれなかったり、プロセスは一切考慮してくれない対応をとる場合、子供は結果を重視してしまう性格になりがちです。

また、子供の頃に母親の期待を一心に背負っていた子供も完璧主義者になりやすいと言われます。母親の期待に答えられなければ怒りや落胆されたりする、子供は強迫的観念が植え付けられてしまいます。

結果、子供は母の期待に答えようとして努力します。しかし、努力しても達成できないで責められると、達成できない自分を責めて何とか達成しようと努力しているうちに完癖主義者になっていくというパターンです。

 

 

性格的な要因

性格的に生真面目な子供は、親や周辺の期待に答えようと一生懸命努力します。また、感受性が豊かな子供も、相手の気持ちが分かってしまうので何とか周辺の期待に答えようと無理をします。そうして、完璧な自分に近づこうと努力しているうちに完璧主義者になる傾向にあります。

 

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完璧主義の人の心理的特徴

理想が高い

完璧主義者は、自分に高いハードルを設定します。そして、何とか少しでも欠点が少ない状態を目指し努力します。その分野もさまざまなことに対して高い理想を掲げ、そこを目指して努力します。

一見、完璧主義者は自己評価が高いだろうと推測しますが、反対に自己評価が低いため「完璧な自分」になろうと一生懸命なのです。

 

 

義務感が強い

完璧主義と呼ばれる人たちの心理的特徴としては、義務感とか責任感が強いということです。妥協が受け入れにくく、定められた秩序を保持していこうとする責任意識が強いので、うまく機能していれば高い自己管理能力を持った人として能力を発揮できるのですが、一方で融通が利かない性質もあり対人関係に支障が出てきたりします。

正しくなければならないという義務感のために、完璧を目指します。そのため、冷静で理性は強いのですが、欲望を上手に解放できません。食欲も汚らわしいものと捉えたりするため拒食症をかかったりします。

子供への虐待を行う親の特徴に、完璧主義的な義務感の強さがあります。義務感が強い親の場合、自分の意志をあまり持たない幼少期には虐待は少ないのですが、子供が意志を持ち始め行動するようになると、責任感の強さから「こうしなければならない」とか指示したりして、子供の自由を縛り虐待が始まっていくという傾向があります。

 

 

「0か100か」という思考

「成功か失敗」もしくは「0か100か」の両極端な思考を持つ人が多いのも完璧主義者の特徴です。この論理に基づくと、90%程度の成功を収めていても後の10%に満足できず失敗とみなしてしまうため、いつも達成感がなく満たされてないという状況に陥ってしまうのです。

このような慢性的な欲求不満によって、うつ病など発症させたりやアルコール依存症となってしまうケースも見られます。こうした思考を二分法的な思考といいますが、完璧主義の人はこうした傾向が強いといえます。

100%達成が不可能だ無理だと思うと、何もしない方がましという考えに行き着き、掃除をしてもすぐに汚れるので何もしなくなったりします。また、ダイエットを始めたものの、少し間食してしまうと100%ダイエットの理想が崩れたということで、今度は過食症に走ったりしてしまうとかベクトルが極端に動いてしまうという特徴もあります。

 

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完璧主義のデメリット

理想と現実のギャップに自己批判

最初に言いましたように、完璧主義の人は理想が高い人です。そして、その理想の高さは一つの分野だけではなく、さまざまなことに対して理想が高いのです。恋愛、仕事、お金、人間関係などたくさんのことに対して理想が高く、高い理想を目指そうと努力します。

しかし、努力すれば手に入るものもあれば、努力しても手に入らないものもたくさんあるでしょう。たとえば、容貌とか身長などとかの資質については、努力して手に入らないものです。努力しても手に入らないものに、不満を持ち続けていても解決法はないのです。

 

つまり、理想を高く設定していれば、手に入らない敗北感ばかりが募って精神的には苦しくなるばかりでしょう。努力で手に入ったとしても理想が高ければ高いほど、その項目が多ければ多いほど努力の量が増えますから、苦しみはいつまでも続きなかなか達成感も得られません。

努力してもどうにもならないこともたくさんあるにもかかわらず、完璧主義の人は理想に至らない自分を責め現状にも不満を抱くようになりがちです。

 

 

他者批判が多くなる

完璧主義者は自分の価値基準が多くて、その基準が厳しい人ということです。自分自身の基準を自分が破れば自己批判になりますが、反対に相手が破ったときは他者批判が起こります。

「待ち合わせに遅れない」というルールを自分が破った時は罪悪感が生じますが、他者が破ったときは苛立つでしょう。完璧主義者の基準に則らない他者は多数存在するでしょうから、それだけ他者に対する苛立ちや批判も多くなってしまうことになるでしょう。

その分、自分が苦しくなるばかりです。完璧主義者は結婚相手を選ぶ基準も高くてうまく付き合えなかったり、パートナーに対しても不満が多くなってしまうことになります。そうなると、人生に苦しみばかり引き込んでしまうことになりかねません。

 

 

理想を追求に楽しい実感がわかない

完璧主義の人が理想を達成しても、少しも楽しいという実感が湧かないことも問題となります。というのも理想には2種類あって、心から感じる理想とノルマとしての理想があるからです。

心からの理想というのは、結果がよくなくとも、プロセスが楽しければ満足できる理想とは魂から求めた欲求、楽しいことなどノルマとか義務感なく感じられる理想です。しかし、一般に完璧主義者の理想は「こうしたい」ではなく「こうすべき」な義務意識を持った理想になります。

 

「すべき」という義務感や自分の弱点の補足感から生まれてくる欲求なので、いつまで行っても楽しくなく苦しいだけなのです。好きではないことにエネルギーを使っても疲れるだけで消耗感しかありません。

理想を追求して達成したとして、心からの満足を得られるかというとそうでもないのです。それは達成できた安堵感であって、幸福と呼ばれている本質的な喜びにはならないでしょう。

 

 

完璧主義から脱出する方法

このようにあまりの完璧主義は、結局自分を追い詰めて永遠に不満な状況にあなたを閉じ込めてしまいます。そうなると行動がすべてから回りをし始め精神的に苦しみ、自信を喪失してしまいます。

完璧主義を治すには、理想のハードルを低くして自分がダメだと思っていることを受け入れていくことしかないでしょう。自分の価値感が失われるかもしれない恐怖と向き合って、その恐怖を克服することによって達成されるはずです。

 

けれど、それはそう簡単なことではありません。完璧主義というのは、子どもの頃から積んでいった時間と性癖の堆積物です。理想を追求していく生き方をずっとしてきたのに、その理想のハードルを下げるということは、生き方に戸惑ってしまうことになるでしょう。

ですから、そう一気呵成に成し遂げられることは難しいはずです。しかし、理想のハードルを下げたほうが、本来的な理想に近づく結果になるということは、そのプロセスで体感していくことでしょう。

そして、理想の指針を下げても、あなたの生きる指針はなくなっていないことにも後に気付くはずです。むしろ、自分の中の価値観が少なくなって「こうすべき」が減ったとき、新たな指針が表面に現れるでしょう。おそらく、あなたの心地良い好奇心や興味はふつふつと湧き出し、あなたを楽しくしてくれる理想へと連れて行ってくれるでしょう。

 

まとめ

極端な完璧主義は結局自分を追い詰めて、人生を無駄させかねません。そうなってしまうと、行動がすべてから回りをし始め精神的に苦しみ、自信を喪失してしまいます。結局、「こうすべき」から発想している完璧主義の発想は、理想のハードルが高いためにそのプロセスを楽しむ余裕がないことに根ざしています。

長年自分を養ってきた自己価値を変えたり低くすることは恐怖の体験かもしれませんが、少し理想のハードルを下げ自己価値感を少なくしてみると、また別の価値感や別ルートが発見できるかもしれません。