対人恐怖症の心理的特徴とは?人と話すのが怖いのはなぜ?

対人恐怖症の人の心理について。誰でも人前に出ると緊張して、顔が赤くなったり、声が震えたりします。「大勢の人の前で話すのは苦手だ」「声がうわずったようになるから恥ずかしい」といった心理になる人は多いでしょう。

一方、対人恐怖症はこのような症状が非常に強く意識されるため、慢性的に現れるようになります。日常の会話でさえ難しくなるでしょう。社会に出ることが難しくなる病気の一つとも言われている対人恐怖症の人の心理をご紹介します。

 

対人恐怖症の人の心理

赤面するから恥ずかしいという心理

人前で話をするときだけでなく、近所の人や職場の人と会うときも赤面してしまいます。「赤面した自分を見られるのが恥ずかしい」という心理から、人と会うことを避けるようになります。

また、職場や電車の中など、人の視線が気になって、視線を感じただけで赤面してしまうこともあるでしょう。緊張で顔が赤くなることは誰にでもあるため、それ自体は病気ではありません。

ただ、顔が赤くなることを極度に恥ずかしく思い込み、そのことが苦痛で人前に出ることを避けるようになると赤面恐怖症と考えられます。特に、異性に対して症状が強くなる場合は異性恐怖と呼ばれています。

 

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大勢の人の前で話したくないという心理

大勢の前で話すことに極度の緊張を感じて、声がうわずってしまいます。手が震え、多量の汗が出てしまうこともあります。そのため、職場の会議や結婚式でのスピーチ、宴会の席での音頭など、引き受けることができません。

どうしても人前に出なければならない場合、「話せるだろうか」と気にするあまり前の晩は眠れなかったり、その場面が近づいてくると不安や緊張がさらに強くなります。

 

 

言葉が出てこないという心理

大勢の人の前でも緊張しますが、打ち解けた場面で人と会うときも支障をきたします。「自分はどう思われているのだろう」という心理になり、気にし過ぎるため、動悸や息切れがしたりします。

ひどい場合はめまいが起きたり、失神してしまうこともあります。気心が知れた友達であっても、言葉が出てこないこともあるでしょう。会話が続かず、コミュニケーションが上手にできないため落ち込んでしまいます。

 

 

外出したくないという心理

人と話すことや会うことに緊張するため、「人と話すのが非常につらい」「人前に出られない」といった心理になります。生活上で恐怖となる対象を避けることには限界があるため、「外出することが苦痛」と感じて、「人混みや職場に行きたくない」といった心理になってしまいます。

また、電車やバスなど乗り物に乗れなくなることもあります。スポーツ大会や文化祭、映画館など誘われても断ってしまうでしょう。人を避けるあまり外出しなくなると、引きこもりのような状態になることもあります。

 

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自分は価値がないという心理

対人恐怖症の人の中には、「人前に出たいのに出られない」といった心理から、現状を深く悩んでいる人もいます。自分に対して否定的な見方しかできず、「自分はだめな人間だ」「自分には価値がない」という心理から自己嫌悪になってしまいます。

一般に、対人恐怖症になる人は「厳格な強い父親」を持った家庭に多いと言われています。その人自身の親子関係の問題など過去が関係していることが多いでしょう。

 

 

他の人からどう見られているかばかり気になるという心理

対人恐怖症の中にはいくつか種類がありますが、一般に、思春期に多く見られるのが重症対人恐怖です。例えば、「自分の体が臭い」「おならやわきがなど排泄物の臭いが出ている」という心理になり、人との接触を避けようとするのが自己臭恐怖症です。

似たような症状に体臭恐怖症がありますが、周囲の人は感じていないのに、「自分は強い体臭がある」という心理になって思い込んでいる状態です。

 

また、「自分の鼻がゆがんでいる」「自分の口が曲がっている」といった心理から、「不恰好な姿が他の人から嘲笑されている」「自分の醜い姿が迷惑をかけている」という心理になり、人前に出ることができなくなることを醜形恐怖症と言います。

他にも、「自分の視線が他の人に危害を与えている」という心理から人と視線を合わせることができない自己視線恐怖症などです。視線恐怖症と呼ばれるものもありますが、これは「いつも人に見られているのではないか」と他の人の視線を気にしている状態です。

 

 

まとめ

家族に対人恐怖症の人がいる場合、本人の気持ちがよく理解できず、「人なんか怖くない」「気の持ちようだ」と言ってしまう人もいます。引きこもりの状態が長く続くほど、「もうそろそろ外出できるのでは」と、無理やり連れ出したくなるかもしれません。

そのようなことをすると、本人はますます自信をなくしてしまい、追い込むことになってしまいます。あくまでも、本人が「人に会いたい」という心理になり、自発的に行動するまで見守ってあげることが重要です。

周囲の人の「気が弱いからだ」「もっと鍛えた方が良い」といった考え方は逆効果になってしまうでしょう。

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