過敏性腸症候群の人の心理的特徴とは?

過敏性腸症候群の人の心理的特徴について。過敏性腸症候群は、お腹が弱くてよく腹痛を起こすのとは少し違います。胃腸の異常ではなく、心の異常が腸に表れる症状です。だから胃腸科で診断しても異常はなく、原因追及には心療内科を訪れる人もいます。

下痢型の人もいれば便秘型の人もいますし、この両方が交互にやってくる人もいます。原因は精神的ストレスですが、この病気になった人の気持ち、心理にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

過敏性腸症候群の人の心理的特徴

出かけるのが怖いという心理

腹痛が起こるとまず探すのはトイレです。痛みそのものも嫌なものですが、痛くなった時にすぐトイレに行けないことは過敏性腸症候群の人にとって恐怖でしかありません。

家にいたらいつでも好きな時にトイレに行けますが、電車の中だったら?車の運転中だったら?会社の重要な会議中だったら?そう思うとどこに行くにも怖くなってしまうのです。

 

この症状が出るのは男性サラリーマンに多いと言われています。心的ストレスが身体に表れ、酷いと電車に乗れなくなってしまうことも。これは身体の問題でもあると同時に心の問題にもなります。

ストレスの原因がわかれば良いのですが、中にはそれがわからない人もいて根本的解決が難しい症状と言えます。外出ができにくくなってしまえばその分社会参加ができず、働くこともできません。ただの腹痛だと思っていると大変痛い目に遭うこともあるのです。

会社に行くだけでなく、必要になったら行く必要がある歯医者や美容院、心療内科さえ怖くなってしまうことも。人と街合わすことも難しくなると、友達やパートナーも離れていってしまいます。

 

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楽しみを見いだせなくなる心理

一般的に、好きな人や友達と一緒に過ごす時間は楽しいものとされています。ですが、過敏性腸症候群になるといつ腹痛がやってくるかわからず、人と過ごす楽しさよりも痛みが嫌だという気持ちの方が勝ってきます。

すると、「楽しいことをしようとする=痛みがやってくる」という式ができあがり、今まで楽しかったことが苦業に変わってしまう瞬間があります。そうなると友達からの誘いが嬉しいものから怖いものへと変わり、苦しむくらいなら楽しもうとしない方が良いという心理が働いてしまいます。

 

人間は、自分がわざわざ痛くなるとわかっているようなことをするほど自虐的ではないのが普通ですから、引きこもりになることもあります。楽しみ方が一変し、アウトドアの人はインドアになっていく傾向があります。

家の中で一人でも楽しめる方法を見つけるとなると限られますが、映画やゲームにハマっていく人もいます。ストレス回避方法になっていればそれで良くなることもありますが、一度引きこもってしまってからもう一度外に出るとなるとその一歩は非常に難しいものになります。

 

 

医者を信用できなくなる心理

過敏性腸症候群に対する特効薬は今のところ存在しません。症状を和らげてくれるものならありますが、それも人によって効果はまちまちです。女性ホルモンの関係で男性のみ飲める薬はありますが、根本的解決はやはりストレスの元を断ち切ることです。

そのためには胃腸科ではなく心療内科にかかる方が心的ストレスを見つけてもらいやすいのですが、その原因が自分でもわからないのであれば、たとえ専門知識を持った医者でも解決の糸口を拾うのは難しいです。

 

わかってはいるものの、薬が思ったように効かなかったり、何年も同じ症状で悩まされているとだんだん医者を信用できなくなってきます。特に症状が変わらないと、心療内科のカウンセリングではいつも同じことを聞かれ、ただ薬をもらいに行くだけになってしまいます。

聞かれる内容はその人によって違いますが、

  • 外食をしたかどうか
  • 便通について
  • 休みの日の過ごし方
  • 仕事でのストレス
  • よく眠れているか

がメインとなってきます。医者が病気を治してくれると思っているとこの同じサイクルになってしまうので、自分から発信して薬を変えてみたいとか、こうしてはどうだろうと提案することも必要になってきます。

藁をもすがる気持ちで医者に通っているのに、結局わからなくて自分判断で進んでいるとなると余計に信頼がおけなくなっていきます。

 

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自分は弱い人間だと思ってしまう心理

身体の異常ではなく精神的なストレスから腹痛が来ているというと、過敏性腸症候群の人の中にはそんな些細なストレスさえも耐えられないのかと自分を卑下してしまうことがあります。

他の人間はこれくらいで何ともないのに、どうして自分だけ症状が出しまうのかと悩みが増えます。これは脳が腸と深くかかわりがあるためであり、人によってどのくらいのストレス負荷で症状が出るかは違いがあります。

 

自分では耐えられるはずだと思っているものなのに、自分のものであるはずの身体が言うことを聞かないというのは大変歯がゆいものです。自分のことさえコントロールできない不甲斐なさを感じ、弱い人間だという意識は深まっていきます。

他人からも理解されないことが多く、周りと比較されてしまいます。それを仕方のないことであり、その人の個性なのだと認識してくれる人というのは少ないのです。

仮に過敏性腸症候群で仕事を新しく探そうとなると、上司は心的ストレスから異常が来ることを経験した人であることが望ましいです。また、職場のトイレ環境を調べ、防音性や広さについて確認しておくと安心できます。

 

 

まとめ

周りからはただの腹痛の多い人と認識されがちな過敏性腸症候群。ですが、このような心理状態を理解してくれる人が増えれば、社会での不安も少しは減りますよね。自分の病気について人に詳しく説明できる機会は少ないです。

説明したとしてもなかなか理解には及ばず、自分が出かけにくいことを伝えたのに何度も遊びの誘いをする人も多いです。病気について全部を知っておけというのは無理ですが、そういう症状もあるのかとその説明をじっくり聞くことが大切です。

その人のできないことや苦手なことが何かを把握し、その症状が出たら何をしてあげたら良いのかを聞いておくと良いでしょう。放っておいてくれた方が楽だというなら、そこまで心配せず見守ってあげるだけでも相手にとっては心強いものです。

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